懇意にして頂いている不動産会社からマンションを購入される方のお見積りのご依頼。
いつもありがとうございます。

うちの事務所の登記報酬は、ほぼワンプライス。見積もりといっても、登録免許税と不動産取得税の計算が主な業務です。

「金持ちやから多めに取っといて!」

など、よそでよくある余分な味付け作業は一切ありません!それでは本題に入ります。

資料に目を通すと、またこれが、微妙な案件。何かといえば、今回の物件は平成元年に新築された物件なんです。

何が微妙かと言うと、この建物の新築年月日、築年数によって、

  • 登録免許税
  • 住宅ローン減税
  • 不動産取得税

つまり、コストに、大きな差が出るのです。

税金にこんな大きな違いが

登記に必要な税金「登録免許税」の軽減が適用されるのは、マンション等耐火建築物の場合は新築25年以内。

今回の物件は平成元年に新築された物件ですので、原則対象外です。が、耐震証明書の取得が可能な場合には、登録免許税の軽減が適用されます。

ちなみに軽減されると、建物の名義変更の登録免許税が約6分の1、住宅ローンの登記の登録免許税は4分の1になります。

住宅ローン減税についても同様で、築年数の要件は原則対象外ですが、耐震証明書が取得出来れば減税対象、非常に大きなメリットがありそうです。

さらに、不動産取得税の軽減措置も平成元年4月1日の前後で大幅に変わるんです。

不動産取得税の控除額
昭和57年1月1日~昭和60年6月30日420万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日450万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日1000万円
平成9年4月1日以降1200万円

上の表のとおり、新築年月日が、平成元年4月1日~平成9年3月31日の場合、控除額は1000万円で、それ以前の場合の、控除額は450万円。

今回のケースでは、新築年月日が1日違うだけで、不動産取得税が20万円弱変わります。

新築年月日の記載がない?

建物の新築年月日は、登記事項証明書を見れば一目瞭然・・・のはずが、何かの間違いか?新築年月日の記載がありません!

物件の特定につながる恐れがありますので、物件の詳細は割愛させて頂きますが、とにかく建物の新築年月日が分からない!見積もりのために預かったその他の資料などから、平成元年の春頃に建ったのは間違いなさそうですが、お役所相手の仕事です。そんなあいまいなことではダメなんです。

登記簿からは、この専有部分(マンションの一室)は、マンション全体(一棟の建物)から区分・分けられたようですが、新築年月日の部分の記載が転記(移記)されていませんし、このマンション全体の建物の閉鎖登記簿謄本がインターネット登記情報では確認できません。かといって、マンション全室の登記簿を確認するのは、あほみたいな費用が・・・。

実際のところ、建物の新築年月日は、建築基準法でいうところの検査済証の検査年月日が基本なので、そんなところまで調査することになるのでしょうか?

地味~な仕事です

結論は、管轄の法務局で閉鎖登記簿謄本を確認した結果、残念ながら平成元年3月築。

今回のケースでは控除額が少なく、不動産取得税の課税対象になりそうです。

自分が払う訳でもありませんが、せっかく関与させて頂くお仕事。よろこばれる結果にならないと、「何だかな~」という気分です。

とまあ、司法書士の仕事は、1に確認、2に確認、3も4も確認です。地味~な司法書士の仕事の一面でした。