相続手続

相続放棄と生命保険

生命保険金は、相続、つまり被相続人がお亡くなりになることで受け取るものです。

この生命保険金は、相続財産にあたるのでしょうか?つまり、

相続放棄をすると生命保険金を受け取れないのでしょうか?

答えは生命保険の契約内容によって結果が変わります。

※平成26年10月31日、よく頂く質問について追記しました。

生命保険契約の内容

保険契約には、「契約者」「被保険者」「受取人」などの立場があり、「受取人」にも「保険金受取人」や「給付金受取人」などが存在し、正直わかりにくいと思われます。

ここで、「相続放棄をすると生命保険を受け取れないの?」の部分に焦点をあてて考えると、

被保険者 = 亡くなった方 = 被相続人

が成り立ちます。問題になるのは、

「保険金受取人」がどのように指定されているのか?です。

受取人が【被相続人】である場合

通常、生命保険は残された家族の方のために加入するものですので、「自分が死んだ時には家族が受け取る」ように契約をしますが、「自分が死んだ時には、自分あてに保険金を支払って欲しい」と契約することも可能です。

つまり、田中一郎さん(仮名)が、生命保険をかけてお亡くなりになった場合、
・被保険者=田中一郎
・保険金受取人=田中一郎
と契約されている場合には、保険会社は、田中一郎さんへ保険金を支払います。ただし、田中一郎さんが保険金を受け取ることが出来ないため、代わりに田中一郎さんの相続人が保険金の支払いを請求することになります。

したがって、本来、田中一郎さんが受け取るはずだったお金を、田中さんの相続人が請求、受け取る行為は、「自分は田中一郎さんの相続人である」と認めた上での行為です。法定単純承認事由に該当し、相続放棄をすることができなくなります。

つまり、「保険金受取人」=「被保険者」と指定されている場合、相続人が、

相続放棄をするのであれば、生命保険金をあきらめることになります。

受取人が【被相続人以外】である場合

受取人が【被相続人以外】の誰かである場合、その誰かが、相続人であったとしても、そうでなかったとしても、保険金の請求権は、指定されたその人固有の権利であり、相続財産ではありません。つまり、自分のお金です。

この場合には、保険金の請求・受領と相続人の地位とは、まったく関係がありません。

したがって、相続人が保険金の受取人に指定されていた場合、

相続放棄をする場合でも保険金は受け取って大丈夫です。

「法定相続人」と指定されているケース

ここで、よく問い合わせ・ご質問があるのが、「保険金受取人」=「法定相続人」と指定されていた場合です。

「法定相続人」と指定されていると、
相続人の立場だから受け取れるもの。相続放棄すると受け取れない!
と思われがちなのですが、実は大丈夫です。

たとえば、独身時代に生命保険に加入し、「保険金受取人を法定相続人」と指定すると、その時点では、親が受取人になりますが、結婚すると、妻と親が受取人に、子供が出来ると妻と子供が受取人へと、保険金の受取人が変わります。

おそらく、このように保険金受取人が自分の家族構成によって代わることは都合がよく、保険金受取人を法定相続人とすることで、「そのときどきに応じて、自分の大切な家族(相続人)へ支払ってもらいたい」との意味合いが含まれているのです。

したがって、保険金受取人を法定相続人と指定している場合でも、保険金を受け取る権利は法定相続人固有の権利です。相続放棄をする場合でも、受け取ることができます。

受取人の指定がない場合

生命保険契約で受取人を指定しなかった場合には、その契約の約款(決まりごと)によります。

約款では、「保険金受取人無指定の場合については、相続人又は遺族を保険金受取人とする旨」の取り扱いが多いようです。(例外がある可能性は否定できません)

つまり、保険契約で受取人の指定がなく、その場合の取り決めで、「相続人が受取人」と定められていれば、<受取人が【被相続人以外】である場合>と同様に保険金は相続人固有の権利となります。

相続放棄をしても保険金は受け取れます。

相続放棄と生命保険のまとめ

生命保険金と相続財産は、ともに、被相続人がお亡くなりになることで受け取る権利・財産です。

受け取るタイミングが同じであっても、契約や約款によって、権利の法的性質はまったくことなります。

ここでは、一般的なケースとして、保険金と相続放棄について解説しましたが、相続放棄を検討されている方が、保険金などを受け取る立場になった場合には、きちんとした資料にもとづいた慎重な判断が必要です。

法律の専門家へご相談されることをおすすめします。

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