被相続人が遺言をのこされている場合には、故人の意思が尊重されるのが大原則。
遺言の内容にしたがい、故人が指定したとおりに不動産の名義変更を行うことになります。
遺言、特に公正証書遺言では、遺言執行者が指定されていることが多く、そのような場合、遺言の内容の実現は遺言執行者によって行われます。これが基本的な考え方になります。
つまり、相続不動産の名義変更手続は遺言執行者によって行われます。
相続人からの相続登記
遺言で遺言執行者が指定されている場合でも、遺言執行者がいない・就任しないなどのケースや、遺言の内容によっては、相続人が相続登記を進めるケースがあります。
「相続させる」旨の遺言
遺言が「特定の相続人に対して特定の不動産を相続させる」旨の内容であった場合には、遺産分割方法の指定と考えられます。
つまり、「相続させる」旨の遺言がのこされている場合には、「遺言を執行するまでもない」と考えられ、遺言執行者の出番はありません。そのようなケースでは、その指定された相続人が単独で名義変更手続を行うことが出来ます。
「遺贈する」旨の遺言
前項の「相続させる」遺言に対し、「遺贈する」と書かれている場合には、注意が必要です。
通常、「遺贈」とは、亡くなった際に、相続財産を(相続人以外の)第三者へ譲り渡す場合に使う文言です。つまり、「相続人に対して遺贈する」というのは、矛盾があります。
ただ、矛盾があるからといって、せっかくの遺言を無効にしてしまうのももったいないので、相続人へ遺贈する旨の遺言も有効です。
「遺贈する」旨の遺言がのこされている場合には、原則どおり、遺言執行者によって相続登記が行われるケースに分類されます。
「全財産を相続人Aに3分の2、相続人Bに3分の1の割合で遺贈する」
このような共同相続人全員に全財産を包括「遺贈する」旨の遺言は、相続分の指定がされたものとして、通常の相続登記と同じく、相続人が相続登記を行うことが出来ます。
遺言執行者がいない!
遺言執行者の指定がない場合や、遺言執行者に指定された方が、死亡・就任拒否・連絡が取れないなど、何らかの理由で遺言執行者へ就任しない・出来ない場合には、
- 家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てる
- 相続人全員で登記手続を行う
ことにより、相続登記を進めることが出来ます。
遺言による相続登記のまとめ
遺言がのこされている場合の相続登記には、
- 遺言執行者におまかせでOKなパターン
- 遺言執行者を選ぶパターン
- 相続人が単独で出来るパターン
- 相続人全員で協力して行うパターン
などなど、遺言の内容によって手続の進め方に様々なケースが想定されます。
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