本年から相続税・贈与税が改正されています。
前回は、主に相続税の改正に関する解説でしたが、今回は贈与税について。
贈与税の改正ポイント
- 贈与税について
-
- 親子間での贈与の特例を新設
- 高額な贈与の税率の変更
- 相続時精算課税制度の範囲を拡大
昨年までは、親子間であろうと、他人どうしであろうと、贈与税に関しては何の区別もありませんでしたが(一部夫婦間の特例や住宅資金の特例等あり)、今回の改正により、親子間、推定相続人への贈与については、減税する方向で改正されました。
さらに、今までは1000万円以上の贈与については、一律50%の贈与税が課せられていたものを、段階的に課税するように変更されています。
親子間では4500万円、他人間では3000万円を超える贈与に対しては、55%と最高税率は上がりましたが、全体的には、贈与税は減税されたものと考えられます。
詳しくは、下記の表でご確認ください。
平成26年まで | 平成27年以降 | |||||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 | 子・孫への贈与 | それ以外の贈与 | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |||
200万円以下 | 10% | ― | 10% | ― | 10% | ― |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | 20% | 25万円 | ||
600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 1000万円超 50% |
225万円 | 40% | 190万円 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 | 50% | 250万円 | ||
4500万円以下 | 50% | 415万円 | 3000万円超 55% |
400万円 | ||
4500万円超 | 55% | 640万円 |
ちなみに500万円、1000万円、2000万円の贈与を行った場合の、旧規定・親子間の新規定・他人間の新規定で計算しますと、以下の表のとおり、若干ですが減税されているのがお分かりいただけると思います。
贈与する金額 | 平成26年まで | 平成27年以降 | ||||
子・孫への贈与 | それ以外の贈与 | |||||
500万円 | 530,000円 | 485,000円 | 530,000円 | |||
1000万円 | 2,310,000円 | 1,770,000円 | 2,310,000円 | |||
2000万円 | 7,200,000円 | 5,855,000円 | 6,950,000円 |
親子間の贈与の特例の要件
新設された「親子間の贈与」の優遇措置の要件は、
贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属が父や祖父母から贈与を受けること
「直系卑属」が要件となりますので、義理の娘への贈与には使用できません。
もらう側には要件が定められていますが、あげる側には要件はありません。
また、相続時精算課税制度でも似たような要件があり、そちらの方は、あげる側にも「60歳以上」との要件があるのでご注意ください。
贈与は使いやすくなったか?
今回の改正により、贈与税は減税されました。相続税が増税されたことと合わせて考えると、相続の前に贈与する方がお得なように感じますが、本当にそうでしょうか?
実は、急いで贈与するのは待った方がいいかもしれません。
それは、現在1000万円までの住宅資金贈与の特例が、3000万円に拡充されるなどの特例が考えられるためです。
税制上の優遇措置・特例措置の新設・延長・再延長などは日常茶飯事ですので、(小渕さん(父)の恒久減税が、恒久的になり、いつの間にか廃止される国ですから)ベストなタイミングを確約することは不可能ですが、将来を見据えた判断が必要です。
ただし、年間110万円の非課税贈与枠は、ずっと続いていますので、この110万円の基礎控除枠を利用した贈与をするには、すぐに行動に移すことをオススメします。