以前に書いた記事(いらない不動産を相続放棄で手放す?)に関する問い合わせを、マスコミを含め、よく頂きます。
といっても、「相続放棄をお願いします。」っていう内容ではなく、
- 相続財産管理人の予納金はいくらぐらいか?
- 相続財産管理人を選任しないで放置したらどうなるのか?
- 先順位の相続人が勝手に相続放棄したのに不公平じゃないか?
などなど、大体記事に書いてあること!
書いてあることは、きちんと読んでくださいね。まして「不公平やん」とか言われても、法律でそう決まってるんで、国会議員でもない私にはどうしようもありません。
で、最近しつこく何度もタダで質問されていたのが、「相続財産管理人に引き継げば終わりか?」って質問。私が「そのとおりです。」と回答しても、納得いかないようですが、何度聞かれても答えが変わるはずがありません。
まあその方が心配されていたのが、相続放棄をして、相続財産管理人に引き継いだ不動産がもし売れなかったら、相続人に返品されるのか?ってことのようです。
参考にされたのはこんな記事を読んだからでしょうか?
国は相続財産を引き取ってはくれない?
ここまで「相続放棄をしても相続財産の管理責任は負い続ける可能性がある」。ということを説明してきましたが、問題はこれだけではありません。
先ほど説明した相続財産管理人ですが、相続財産管理人は相続財産の清算が終わると残った財産を国庫に引き継ぎます。ただ不動産の場合ですと、国はほとんど引き取ってくれません。その理由は明快で国も当該相続不動産を欲しくないからです。本来売れるような不動産なら債権者が財産管理人選任請求をし、相続不動産を清算してしまいますし、売れる不動産なら被相続人に借金がなければ相続人が相続するはずです。そうなるとほとんどの相続放棄の場合に残る不動産は売れない、国も欲しがらない不動産になります。
こうなってしまうと、相続財産管理人の業務はいつまでも終了せず、選任申し立てをした者は相続財産管理人の報酬を払い続けることになります。そうなると普通に相続して維持費を支払っていた方ほうが安く済んでしまうことも十分考えられます。
こうなると相続財産に多額の負債がある場合は、素直に相続放棄をし管理義務のみを負い続けるのが良いのかもしれません。逆に負債がないのなら相続してしまい、売却できない可能性は高いですが、相続してしまい地道に売却先を探す方が良いのかもしれません。相続してしまえば相続財産について自由な処分が可能ですので相続した方がいいかもしれません。
上の記事の引用先はあえて伏せますが、相続財産管理人が引き継いだ不動産の国庫帰属に関する事務は、2017年6月27日付の「国庫帰属不動産に関する事務取扱について」との財務省、理財局国有財産業務課長名の文書にて、以下のように書かれています。
(国は)相続人不存在不動産については、管理又は処分をするのに不適当であっても、(相続財産管理人からの)引継ぎを拒否することができない
(一部抜粋、下線は当職にて、括弧部分は当職が加筆)
つまり、処分をするのに不適当=売れない不動産であっても、相続財産管理人が行う国庫帰属手続を国は拒否できないので、上の記事にあるような、
・国が欲しくないとか、
・国が引き取ってくれませんとか、
・結果いつまでも相続財産管理人の報酬を払い続けるとか、
は、あり得ない のです。
相続したくない不動産は、相続放棄をした上、最終的に、相続財産管理人へ管理を引き継げば、それでオッケー。
それ以上のことは、(元)相続人としては、何もできません。したがって、何も要求されません!