「こちら兵庫県警ですが・・・」と、事務所に電話です。

身に覚えはありませんが、警察からの電話なんて「何事?」と構えていると、

「◎◎様の通知の件ですが・・・」

相続放棄を受任していた方に関する連絡でした。「ホッ」

放置違反金は一身専属、相続しません。

兵庫県警からの連絡の趣旨は、

「放置違反金(駐禁の罰金)は一身専属。当人の死亡の事実が確認できましたので、その他相続人からの通知は不要です。」

とのこと。つまり、放置違反金は相続しないので、相続人が支払う必要はなし!

死亡の事実の通知として送付した「相続放棄申述受理証明書」へのご丁寧な回答でした。

ちなみに、この「放置違反金は一身専属」の根拠となる法令は以下のものと考えられます。

徴収事務規程 第40条
検察官は、(大胆に中略)徴収金について次の各号に掲げる事由が生じたときは、徴収不能決定の処分をする。
(2) 納付義務者が死亡したとき。

罰金は相続しない?

では、駐車違反を含む交通違反の罰金、その他の罰金はすべて相続しないのでしょうか?

実は、先ほどの徴収事務規定には続きがあり、

ただし、罰金又は追徴に係る徴収金について刑訴法第491条の規定により相続財産に対し執行することができるときを除く。

とあります。

つまり、相続人が故人に代わって罰金の支払い義務を負うことはありません!

罰金も刑罰なので当たり前。当人が亡くなれば「徴収不能」で終わりです。

ただし、「相続財産に対し執行」出来るので、相続財産から支払わなくてはいけない場合があるようです。

どんなケースかといえば、

刑事訴訟法第491条
没収又は租税その他の公課若しくは専売に関する法令の規定により言い渡した罰金若しくは追徴は、刑の言渡を受けた者が判決の確定した後死亡した場合には、相続財産についてこれを執行することができる。

とされており、具体的には、没収(殺人請負の報酬・窃盗した物の売却金等)や租税(脱税で課された罰金など)、専売(ヤミ酒の製造利益?)などが考えられます。

罰金と相続のまとめ

被相続人(故人)が罰金を支払わないまま亡くなられた場合でも、被相続人(故人)に代わって相続人が罰金を支払うことはありません。

つまり、罰金は相続しない

ただし、かなりレアですが「故人に科された罰金」を「故人の財産」から支払うケースもあるにはあるようです。