相続放棄は、裁判所への申立てによって、その効果が発生します。しかし、
- 相続放棄を申し立てようと思っている場合
- すでに相続放棄を申し立てた場合
でも、次のようなことをしてしまうと、自動的に相続を認めたことになってしまいます。
つまり、相続放棄ができない・相続放棄の効果がなくなってしまうのです。
これらのことを法定単純承認事由といいます。
法定単純承認とは
法定単純承認について、法律では、以下のとおり定められています。
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
1.相続人が相続財産の全部、または一部を処分したとき。ただし、保存行為、および短期賃貸(民法602条)をすることは、この限りでない。
2.相続人が熟慮期間内に限定承認、または相続放棄をしなかったとき。
3.相続人が、限定承認、または相続放棄をした後であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、または悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
民法921条
この中で問題になるのは、「相続人が相続財産の全部、または一部を処分したとき」
つまり、相続財産を自分のものとして使ってしまうと、相続放棄ができなくなり、また相続放棄の効果がなくなります。
単純承認の具体例
法律の規定では、何がダメで、どんなことが許されるのか、具体的に定められているわけではありません。
法律用語も難しいので事例を挙げて、わかりやすく解説します。