こんばんは!神戸の司法書士の塚本です。
今回紹介する事案は、50年前に起こった相続を放棄した事案。
神戸市建築住宅局から「空家等の適切管理について(お願い)」なる文書が届いた方からのご相談。
送られてきたその文書には、朽ち果てた木造住宅(だったと思われる)の残骸の写真が添付されていました。
こんな状況になってます!相続人なら、どうにかしてくださいって通知なのです。
相続人となった事実を知らなかった場合
その住宅の所有者だった方の、異父兄弟に当たる方が今回のご相談者さんですが、この文書が届くまで、異父兄弟が存在することさえ知らなかったようで、正に「寝耳に水」
本来、相続放棄は、相続が起こってから3カ月以内におこなう必要があるのですが、今回の事案はその例外となる「相続開始の原因事実、および自己が相続人となった事実を知らなかった場合」にあたります。
したがって、この通知を受け取った時から3カ月以内に相続放棄を行えば大丈夫。ということで、相続放棄の手続を行いました。
50年前の住所の証明は不可能です
相続放棄を申し立てるのは、家庭裁判所。簡易裁判所や地方裁判所は受け付けてくれません。
また最寄りの家庭裁判所でOKって訳ではなく、亡くなられた方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行わなくてはいけません。
ところが今回の事案、被相続人が亡くなったのは、昭和44年と50年以上も前のこと。
現行法では、亡くなった方の住民票の保存期間は、たったの5年。
ということで、本籍地と先程の朽ち果てた木造家屋の所在地を管轄する家庭裁判所へ、それらの事情を説明し、相続放棄の申し立てを行いました。
無事、受理され、相続放棄も認められました。
相続が起こってから何年たっていても、そのことを知らなかったことにきちんとした事情があれば、相続放棄が認められる場合があります。早めのご相談が解決への近道です。