相続放棄とは、【初めから相続人でなかったこと】にするための裁判上の制度。

と言っても、「親子の縁を切る・親兄弟と他人になる」ような身分的ものではなく、あくまでも財産上の責任関係から離れるための制度です。

借金を相続したくない!

相続の争いから抜け出したい!

このような場合に相続放棄が利用されています。

そもそも【相続】って?

では、相続放棄の解説の前に、まず「相続」っていったいどういうことでしょうか?

相続は(被相続人の)死亡によって開始する。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

民法第882条、民法896条

法律では、相続についてこのように定めています。

つまり、相続人は、被相続人の権利や義務のいっさいがっさい・ほぼすべてのものを引き継ぐことになります。(一部の権利を除く、相続で引き継がれない権利・義務

プラスの財産である不動産・預金・株式など財産価値のあるものはもちろん、マイナスの財産である借金の返済義務や保証人としての責任など、すべての財産を引き継ぐ。法律では、相続についてこのように定められているのです。

マイナスの財産の方が大きい!プラスの財産がない!

「被相続人の権利・義務をすべて引き継ぐ」と、定められていても、プラスの財産がない・マイナスの財産の方が大きい場合、つまり、被相続人の義務だけを相続人に引き継がせるのは、あまりにも酷なことです。

そこで相続人は、相続する(承認)・条件付で相続する(限定承認)・相続しない(相続放棄)の3つから選ぶことができます。

プラスの財産が一切ないときや、マイナスの財産(借金など)の方が非常に大きい場合などは、相続を認めることなく、拒否することができます。

【相続しない!】という相続人の意思表示、それが「相続放棄」です。

実際の相続放棄の方法などは、次のページ(相続放棄って2)に続きます。