内容証明郵便等の実費(約1500円)は別途必要です。上記は一例です。事案により報酬が加算される場合もあります。
消滅時効とは
ずいぶん、昔に借りた貸金業者から請求書が届いたんですが・・・
「借りたものを返す」ことは当たり前のことなのですが、
ずっと長い間返していない借金であれば、返さなくてもいいかも知れません!
なぜ、返さなくても良くなるのですか?
法律で「時効」という制度があり、長い間、返してもらえる権利を放っておくと、その権利が使えなくなると定められているからです。
時効制度の解説
時効の制度とは、法律上、正当かどうかは別として、長い間続いているその状況を保護しようとする制度。刑事事件の時効制度、取得時効など、いくつか時効の制度がありますが、借金の返済義務が無くなるのは「消滅時効」の制度です。
ですが、貸主が長い間その請求権(返してもらう権利)を行使しないで放っておくと、その権利が無くなってしまう。そのような制度です。
「権利の上に眠る者は保護しない」との法律上の格言がベースになっています。
なぜ、このような消滅時効の制度があるのかというと、お金を貸して、返してもらう権利が発生してから、長い期間が経過すると、権利発生時の記録、証拠等(借用書や受取書など)が無くなってしまう恐れがあり、本当に貸したのか?もう返しているのか?などなど、そのお金の貸し借りに関する争いの解決が困難になるためとされています。
法律が制定された当時のように、紙に墨と筆で借用書を書いていた時代には、あてはまるのかも知れませんが、なんでもデジタルで記録される現代にも、その考え方があてはまるのかは疑問です。
時効の期間
時効になるような「長い間」ってどのぐらいですか?
権利の種類によって様々ですが、貸金業者からの借金のケースだと、5年間です。
時効の期間についての解説
どれぐらいの期間放っておくと、請求権が消滅してしまうのかは、
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
と、定められており、この1と2のいずれか早い方の経過によって消滅時効は完成します。
貸金業者が、自ら貸したお金の返済時期を知らないはずありません。したがって、貸金業者からの借金は、5年で消滅時効になります。
令和2年4月1日民法改正により、職業別短期消滅時効は廃止されました。それ以前は、飲み屋のツケは1年、弁護士のギャラは2年、商事債権は5年など、細分化されていましたが、それらの規定は廃止され、上記のように5年または10年となっています。
時効の起算日
5年以上前の借金は全部時効になるのですか?
時効の期間のスタート(起算日)は、借りた日ではありません!
ケースバイケースなので注意が必要です。
時効の起算日についての解説
時効のスタート。法律用語で「時効の起算日」は、借金の種類や返済方法によって、いろいろなケースが想定されます。貸金業者からの、一般的な借金、キャッシング取引のケースでは、「期限の利益を喪失した日」がスタートと考えることが出来ます。
この「期限の利益」とは、分割で払える権利のこと。分割払いでは、毎月決められた期日までに、決められた金額を支払えばいいのですが、返済が何日以上遅れるなど、ルールを破った場合には、借金の全額を一括で支払う旨の特約が付されています。このようなルールを「期限の利益喪失約款」といい、ルール違反によって、借金全額の一括弁済を請求をされた日、それが期限の利益喪失日。
時効の完成
じゃあ、5年以上返していなければ、もう返さなくてもいいんですね?
時効の期間が経過すれば、それでOK!ではありません!
時効の完成についての解説
時効は、その期間を経過すると「完成」します。
この「完成」という表現から、期間が経過すればそれで大丈夫!?と誤解されることが多いのですが、時効の期間が経過しただけでは、本当の意味で「完成」「完了」はしていません。
なぜなら、時効の期間が経過したとしても、借りたものは返す!と、時効の利益を受けないのも自由だから。
となると、貸した側からすると、借主が時効の利益を受けるのか?時効の利益を受けないのか?は、わかりません。
つまり、貸主は、時効期間が経過していても、また支払いの請求することが出来ます。貸主の権利は、まだ消滅していないのです。
借主が貸主に対して「時効の期間が経過したのでその利益を受けます!」との意思表示(これを時効の援用といいます)をしてはじめて、本当の意味で時効が完成するのです。
時効の中断
とにかく、5年経てば時効になるのですか?
時効になるのは、貸主が権利の行使を怠っていた場合。
一部でも返済したり、裁判されたりすると、時効は中断します。
時効の中断についての解説
時効は、その期間を経過すると「完成」しますが、法律で定められた中断事由があったときには、それまでに経過した時効期間がリセットされ、改めてゼロからのスタートになります。
借金を承認してしまった
貸金業者からの突然の訪問に慌てて、とりあえず1万円を返済した!
このようなケースは、借主が貸主に対して、「借金の存在を認めた」(法律上は債務の承認といいます)ことになり、時効期間はリセット。改めてゼロからスタートです。
この債務承認は、時効完成前にした場合はもちろん、時効期間が経過した後であっても、いったん借金を承認した以上、その後の時効援用は認められないことになってしまいますのでご注意下さい。
時効期間が経過した借金を譲り受け、突然、自宅へ訪問し、「一部でもいいから返済して」などと、債務を承認させる手口(相手方としては正当な権利ですが)があります。一部でも返済してしまうと時効の効果が無くなってしまいますので慌てて返済しないで、弁護士、司法書士などへご相談ください。
裁判上の請求を受けた
貸金業者が、時効の完成前に、貸金返還請求訴訟を起こし、貸金業者が勝訴した裁判が確定すると、その裁判の確定したとき時効期間がリセット。この場合には、もともと時効期間が5年であったとしても10年に伸びてしまいます。
この裁判上の請求には、支払督促(簡易な裁判手続)も該当します。また、時効完成がせまっているような場合には、いったん内容証明郵便などで請求し、それから半年以内に裁判を起こした場合も該当します。
時効援用のご依頼で、残念なパターンが、「知らない間に裁判をされて負けていた」ケース。
裁判所の手続きは厳格な面がありますので、「勝手に」「知らない間に」裁判をされることはないはずです。が、住民登録を移さず、郵便が届かない状況(相手からすると行方不明)がずっと続けていたような場合には、「公示送達」という方法で、裁判が開始され、「知らない間に裁判をされて負けていた」状況になることは考えられます。
時効の援用
時効期間が経過している、時効が完成している場合には、時効のメリットを受けることができます。その手続きを「時効を援用する」といいます。
手続きと言っても、債権者に対して、「時効の利益を受けます!」という意思表示を行うことです。電話、FAXでも効果はありますが、後で「言った、言わない、聞いてない、届いてない」になってしまうと面倒ですので、証拠力の強い内容証明郵便で行うことが重要です。
内容証明郵便とは、発送した郵便の内容を、郵便局にも保管してもらう郵便の出し方です。
誰が、誰に、どんな内容の文書をいつ発送し、いつ届いたのか、きちんと記録されますので、あとあとのトラブル、言いがかりは生じにくいでしょう。
当事務所では、代理人として時効援用の手続を代行しております。
もし、知らない間に裁判されていて、時効ではなかったケースでも、相手方との返済交渉などにも対応させて頂けます。相手方との返済交渉(任意整理業務)は、司法書士法の範囲に限ります
お気軽にお問い合わせください。
時効援用サービスの費用
内容証明郵便等の実費(約1500円)は別途必要です。上記は一例です。事案により報酬が加算される場合もあります。