こんばんは!神戸の司法書士の塚本です。
今日のお話しは、死者名義への相続登記の添付書類について。
数次相続では死者名義の登記が必要な場合も
前提として、おじいさんが亡くなって、お父さんと叔父さんが相続したけど、その登記をしないまま、お父さんも叔父さんも亡くなってしまって、お孫さん達がおじいさん名義の不動産をどうしよう?ってことがあります。
お孫さんの中の1名の方がおひとりで相続する場合には、おじいさまからお孫さん名義へ直接名義変更登記をすることは可能です。下図のようなイメージです。
他方、お父さん側の孫と叔父さん側の孫が共有するような場合には、直接、お孫さん名義にすることは出来ず、一旦、亡きお父さんと亡き叔父さんの共有名義にしてから、それぞれ、お孫さん名義に登記をしなければいけません。
つまり、死者名義への相続登記が必要性なケースがあり、当然ながら、登記を受け付ける法務局も認めています。
とはいえ、あくまで、一旦、死者名義を経由するだけで、すぐにその相続人名義に変更するんですから、別にたいした話ではないんです。
相続登記には住所の証明書が必要
相続登記を含め、登記の名義を変更する場合には、新たに登記名義人になる方の住所を証明する書類を法務局へ提出する必要があります。一般の個人の方であれば、住民票か戸籍の附票を提出しなくてはいけません。
これは、亡くなった方名義にする場合ももちろん必要で、この場合には、住民票の除票か、戸籍の除附票等を提出します。
登記簿謄本(登記事項証明書)には、不動産の名義人の住所と氏名が記載されます。生年月日などその他の情報は記載されません。
ごくまれに同姓同名同住所の方が不動産を共有した場合に氏名の後に「あ」「い」などの符号が付けられる場合があるそうです。
住民票、戸籍の附票の保存期間
記事を書いている令和4年現在では、住民票、戸籍の附票の保存期間は150年に延長されたので、今後は亡くなった方の住民票が取得できない!なんてことはおこらないのですが・・・
“住民票は、転出や死亡などにより住民票が消除された場合、除票になります。
大阪市ホームページより引用
除票の保存期間は、法令の改正に伴い令和元年6月20日より5年から150年間に延長されました。ただし、平成26年3月31日以前に除票となったものについては、既に保存期間を経過し廃棄されているため、交付できません。
戸籍の除票の附票及び改製原附票の保存期間は、これまで5年間でしたが、法令の改正に伴い、令和元年6月20日より150年間に延長されました。(平成26年3月31日以前に除票となったものは、既に保存期間を経過し廃棄されています。)
大阪市ホームページより引用
大阪市さんの説明の通り、平成26年3月31日までに発生した相続のケースでは、亡くなった方の住所の証明書が発行されないことが起こりえます。
ちなみに、今回受託したケースは、昭和40年代に発生した相続の事件。当然、保存期間は経過しており破棄されているでしょう。
住所がわからない時は本籍地で登記
このように、住所の証明書が発行されないケースでは、本籍地を住所として登記します。
戸籍(除籍)は住民票、戸籍の附票とは違い、破棄されるまでの期間が80年だった(現在は150年に延長)ので、戸籍が入手できないケースは少なく、住所不定って訳にもいかないので本籍地を住所として代用するしかないって感じでしょうか。
一応、「住所証明書が発行されない⇒本籍地で登記」は、法務局の統一ルール(のようです。)
相続登記を申請するのですから、相続される方の戸籍は提出しますので、本籍地は明らかになるので問題なし。ただ、住所証明書を添付しないイレギュラー?な扱いなので、法務局によっては、上申書など、戸籍以外の書類提出を求められるケースがあるんです。
念のため、管轄の法務局へ確認してみましたら・・・
住民票の破棄証明書と戸籍の附票の破棄証明書を提出して下さい!
戸籍の附票の破棄証明書
先に説明したとおり、住民票除票や、戸籍の附票は、法律の規定によって破棄されているのです。
で、今回のケースは昭和40年代に亡くなった方名義への相続登記ですよ。50年も前でっせ。破棄されているに決まってるでしょうが。それでも破棄証明書がいるんですか?
ちなみに、戸籍の附票は、戸籍と一緒に管理されていますので、本籍地の役所へ請求すれば、「本籍地が○○市○○町〇番地の◎◎太郎さんの戸籍の附票は破棄されて発行されない」ことの証明書を取得することは可能です。
住民票の除票の廃棄証明書?
が、そもそも住所の証明ができない方は、どこに住んでいたか分からない訳で、どこに住んでいたか分からない方の住民票除票の破棄証明書って、どこで発行されるんですか? で何の意味があるの?
住民票の除票廃棄済証明
宝塚市ホームページより
宝塚市では住民票の除票について、平成26年6月19日以前に除票となったものは、保存期間経過により廃棄しています。この証明は、平成26年6月19日以前に除票となった住民票が廃棄済であることを証明するものです。この証明には氏名、住所が記載されません。
もし、今回のケースの亡くなった相続人の方が宝塚市在住だったとして、宝塚市で住民票の除票廃棄済証明を取得すると、
「そんな方が宝塚市に住んでいたかどうか知りませんが、宝塚市は保存期間を経過した住民票の除票は法律の規定により破棄しましたよ!」
って書類な訳です。誰とも、何処とも書いていない、そんな書類を提出させて何を知りたいのですか?
私には、さっぱりわかりません! ので、再度、法務局へ確認すると・・・
結論
住民票の破棄証明書は結構です。
意味も無く、考えもせず、なんでも提出しろ!提出しろ!って言うのも大概にしてもらいたいですね。