こんばんは!神戸の司法書士、塚本です。
今日は、会社関係のご依頼者さんに、よく質問をいただく「定款」(ていかん)について。
定款がない
会社の登記のご依頼を頂く際に、確認させて頂くものは、
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 株主リスト(株主の構成や氏名、住所などの情報)
- 定款
の3点が一般的。これらの資料から、登記に必要な手続を検討し、登記に必要な書類を作成します。
よくあるケースが、
探してみたけど定款がありません。どこで発行しているのですか?
ってご質問。
株式会社であれば、設立時に作成した定款は、公証役場で公証人の認証を受けています。
したがって、公証役場に行けば原本が保存されてはいます(20年間)。しかし、その定款は、「原始定款」という会社が設立した時点のもので、その後、定款の変更があっても、その変更が反映されているわけではありません。
また、合同会社では、定款の認証は不要で、公証役場には提出していませんので、公証役場にはある訳なし!
次にありそうなのは、設立登記を受け付けた法務局。こちらは、5年間は保管されているようです。
その他に、設立登記を依頼した司法書士さんや原始定款の認証をお願いした行政書士さんが保存している可能性もあります。
が、そうではない私に相談されているってことは、そちらの方々には連絡がとりずらいってことでしょう。別の手立てが必要です。
会社には定款の保存義務が課せられています
そもそもなんですが、会社には定款の保存義務が課せられています。会社法の規定を会社設立後のケースにあてはめると以下のようなになります。
(定款の備置き及び閲覧等)
会社法第31条1項
株式会社は、定款をその本店及び支店に備え置かなければならない。(以下、省略)
法律上、保存義務があるとはいえ、現実問題、無いものは無いですし、保存期間が経過しているなどのケースでは、現行の定款の内容確認が不可能なこともあるんです。
定款の変更履歴は自己管理が原則
会社設立時に作成した定款は、会社の運営ともに必要に応じて変更されていくもの。(どこぞの国の憲法のように後生大事に不変なんてことはありません。)
定款変更の際には、株主総会の特別決議が必要で、その決議内容を記録した株主総会議事録も作成しなければなりませんし、その議事録も10年間保存しなければなりません(会社法318条)。
定款変更に関する株主総会議事録が保管されていれば、変更履歴、内容が確認できますので、再現は可能です。が、定款がないって会社さんの場合、定款変更を決議した議事録も残ってないってケースがほとんどでしょう。
その場合、現状の登記事項証明書等の内容から、現行の定款をつくりなおすよりありません。
ないものねだりではなく、ないものはつくってしまうってこと。もちろん株主総会決議など、法律上の要件を充たすことが必要です。
顧問司法書士?
もちろん、当事務所では、ご依頼を頂いた会社さん、関与させて頂いている会社さんの、登記に関する情報は保存しています。
とはいえ、関与先の会社さんのすべての株主総会や、登記手続についてご依頼、ご報告を頂いているとは限りませんので、現行の定款を管理、保存していることにはならないんです。
まあ、月額○万円の顧問料を頂いて管理することも可能でしょうが、ご自身の会社で管理していただいて、コスト削減に努めてください。っていうのが当事務所のスタンスです。