こんばんは、神戸の司法書士 塚本です。

皆様、ご依頼ありがとうございます。

塚本司法書士事務所は、「○○専門!」なんてことはなく、不動産登記、会社の登記、相続手続、裁判業務に行政書士業務まで、頂いたご依頼を1つ1つ丁寧かつスピーディーに遂行するのがモットーで、早17年目でございます。

ところで、最近、中国、台湾、香港、韓国など、渉外業務が増えております。私、塚本は、特段、外国語が堪能な訳でもなく、海外事情に詳しい訳でもないのですが、せっかくのご依頼なので、できる範囲で対応させていただいております。

最近、立て続けに渉外業務のご依頼を頂き、海外の「宣誓供述書」「署名証明書」「NAR1」などの書類を取得頂くことになったので、自身への備忘録も兼ねて紹介させて頂きます。

海外の宣誓供述書を登記で使う!その1

ヨーロッパ進出?

日本の株式会社の役員変更登記のご依頼。

メールでのお問い合わせに、「はい!いつでもお越しください!」なんて、気軽に返事をしたのですが、ご来所にての面談で事情を伺うと、「ドイツ在住のドイツ人が取締役になる」!ってことでした。

海外の宣誓供述書を登記で使う!その1

中国や香港、韓国などアジアや、邦人が多く済むアメリカ、オーストラリアなどは、何かしら経験があったのですが、ヨーロッパの国が絡む登記の受託は初めてな気が・・・その他にも登記の懈怠などもいろいろ問題もありまして、安請け合いしたのを後悔しつつ、日々勉強ですので、しっかりやり遂げましょう!

ドイツに印鑑証明書なんてありません。

そもそも会社の登記の手続は、ある事実(今回は役員の改選)があって、それを書類(株主総会議事録とか就任承諾書とか)にして、何がどう変わったかを法務局へ申告します。書類審査だけなので、とにかく書類が大事で、その中でも、実印を押さないといけない書類が大事なんです。

ごく普通の日本在住の日本人が取締役に就任する場合であれば、就任承諾書にご実印で押印頂き、印鑑証明書を添付して登記を申請すればオッケー!就任承諾書に実印での押印と印鑑証明書があれば、「まちがいなく本人に取締役への就任の意思がある」と判断されるのです!

海外の宣誓供述書を登記で使う!その1

が、今回の場合、ドイツ人がハンコなんて使う訳なく、キホン、日本以外で印鑑(実印)を証明する制度なんてありませんので、別の方法で証明するしかないんです!

ドイツの署名証明書

今回の登記で、実印の押印が要求される書類は、就任承諾書。日本語だと以下のような内容で、その半分に英訳文を書きます。

就任承諾書

○○○○株式会社 御中

私は、2024年6月24日開催の貴社株主総会において、貴社の取締役に選任されましたので、その就任を承諾します。

2024年6月24日

住所 ドイツ連邦共和国・・・・・・・

氏名 オリバー・カーン

---------------------------

Notice of Acceptance of Directorship

To: ○○○○ K.K.

I, Oliver Kahn, domiciled at ・・・・・・・・・・, Germany, hereby notify the Company of my acceptance of the office of directorship of the Company as appointed at the shareholders’ meeting held on June 24, 2024.

Date: 24th June, 2024

Name: Oliver Kahn,


で、この書類を持参して、ドイツの公証人役場へ行ってもらい、公証人の面前で、就任承諾書に「署名」してもらったことを証明してもらいます。

海外の宣誓供述書を登記で使う!その1

英訳分付の就任承諾書に、この署名証明書が合綴され(紐で)、さらに「アポスティーユ」なる地方裁判所のハンコが押してある書類、計3枚つづりの書類が完成です。

一体型が安心

サイン証明には、今回紹介したような一体型(合綴されたもの)と、分離型(サインだけ証明したもの)があります。分離型はサインの照合が必要になるので、サインが一致しない!って判断されると使えない!ってことになるので、一体型が安心です。

この3枚つづりの書類とその日本語訳文を、就任承諾書+印鑑証明書の代わりに提出し、無事、登記完了しました。

次回は、署名証明書(サイン証明)ではなく、宣誓供述書を作成してもらったケースを紹介させて頂く予定です。(頑張って近日公開!)

本人確認書類の代用可、翻訳も特別な資格は不要

ちなみに、この署名証明書は、本人確認書類としての印鑑証明書の代用品にもなりますので、別途、パスポートの本人確認書類のコピーなども不要です!(印鑑証明書と同じ扱い)

ちなみに翻訳文も、とくに翻訳の資格なども要求されませんので、昨今の有能な翻訳サイトなどを利用すれば、ほぼほぼ大丈夫かと思います。