神戸の司法書士、塚本です。前回のアコム編に続いて、同様の事案のプロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)編です。概要は前回のアコム編を参照ください。

過払い金返還請求 対 プロミス

アコム編と同じご依頼者の事案で、相手方はプロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)さん。

取引の開始は、平成18年11月末。プロミスさんが期限の利益喪失約款を削除(改訂)したのが、平成18年6月30日らしいので、利益喪失約款を削除した後に開始した取引です。ちなみに、貸付利率は利息制限法超過の25.55%。

相手方からすると、みなし弁済が成立するから過払金は発生しない!って事案です。

期限の利益喪失約款は削除されていない

相手方は、平成18年1月の最高裁判決を受け、いわゆる制限超過利率を超える利息の支払いに関する期限の利益喪失約款を削除した主張しているんですが、実際には「期限の利益喪失約款」は存在します。

第25条 (期限の利益喪失)

1.(省略)

2.お客様に次の各号にあたる事由が生じたとき、プロミスの請求により、お客様は、本規約にもとづく一切の債務について当然に期限の利益を失い、債務の全額をただちに支払います。

① (省略)

② 信用状態が悪化し、プロミスが債権を保全するために必要と認めたとき。

プロミスカード会員規約 (2006.10)

さらには、取引の際にATMから排出される「ご利用明細書」の裏面に以下のような記載があります。

<期限の利益の喪失>債務不履行、支払停止その他の債権保全を相当とする事由が生じたときは、期限の利益を失います。(利息制限法第1条第1項に規定する利率を超えない範囲においてのみ効力を有します)

ある一定期間(H19~20頃?)のご利用明細書 裏面より

相手方は、期限の利益喪失約款を削除したと主張していますが、上記のとおり、ちゃ~んと期限の利益喪失約款は残っており、なにかしらの約束違反、契約違反があれば、残債務を一括で返済しなければならないことには変わりがないんです。

プロミスの言い分は、期限の利益喪失約款は、利息制限法の範囲内の利息の部分に適用され、利息制限法を超える部分の支払いについては、期限の利益喪失約款は適用しないから、その部分の支払いは任意の返済。だから、最高裁判決には違反しないでしょって。

そんなこと言われても、ATMで利息制限法所定の利率の分だけの返済なんて出来ないんだから、利息制限法超過部分も「いやいや?」か「無理やり?」か、とにかく返済するしかない訳で、任意に払ったことにはならないっしょ?てのが、こちらの主張です。

果たして結果は?

結果は、アコム編と同様に、裁判官の心証開示の下で和解決着。

担当された裁判官としては、これらの期限の利益喪失約款があれば、支払いの任意性は認められないので、みなし弁済は成立しないとの判断でした。

ちなみに、ここまで、提訴から和解までに1年弱。でもって、訴状へ貼付した印紙は1,000円ぽっきり。つまり、発生していた過払金は10万円未満なんですよ。私の報酬はいくらでしょう?

関係者の皆様、お疲れ様でした。