こんばんは!神戸の司法書士の塚本です。今日はタイトルの会社から届いた「お知らせ」なる書類について。

お知らせ&残高証明書

拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

予てからご案内申し上げておりますとおり、弊社は三菱UFJニコス株式会社からクレジット債権の一部を会社分割により承継し、その後、MUニコス・クレジット株式会社かられいわクレジット管理株式会社へ社名変更しております。

これに伴いまして、お客様のお振込先口座が下記記載のとおり変更となっております。お客様には大変お手数をおかけしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

ご容赦願います。

れいわクレジット管理株式会社の「お知らせ」なる書類から

この下にれいわクレジット管理株式会社の振込先や連絡先が書いてあるのですが、全く身に覚えがない会社から文書が届いた、どうしたらいいの?ていうご相談でした。

ちなみに、この「お知らせ」とあわせて、「残高証明書」なる書類も同封されており、それによると、現在の残高が約45万円だそうで、利息0円、遅延損害金0円、ATM手数料0円だそうです。手掛かりになる契約日や最終取引日などの記載はありません。

利息、遅延損害金が0円ってことは、現在継続中の取引?かと思われるのですが、ご相談者さんに伺ってもまったく心当たりはないそうです。

時効期間を推測

時効かどうかを判断する際、最終取引日が分かればよいのですが、わざわざ記載していないケースが多いです。(そらそうですよね)

最終取引日の記載がなくても、元金の額、損害金の利率、損害金の額などの記載があれば、おおよその遅滞している期間(時効期間)が推測可能。

例えば、元金が50万円で、損害金が70万円なんて記載があれば、50万円に対する1年の損害金は最大10万円(金融業者の場合)なので、約7年は遅滞していると推測されます。

受任して調査したら

念のためにきちんと調べてくださいってことで、受任し、早速、れいわクレジット管理へ債権調査依頼を発送したところ、約1ヶ月で「債権届出書」がFAXされて来ました。

債権届出書を見る限り、やはり過去に何らかの取引自体はあったようです。現在残高や債権コードなど様々な数字が並んでいますが、その下に

※上記債権の最終取引日は2006年8月**日となります。

との記載がありました。(執筆は2022年です)最終取引日が16年も前なら、消滅時効が完成しているでしょう。

ぬか喜びはご法度

ごくまれに、知らない間に裁判されて負けていたり、債務承認(和解)したことを忘れている方もいますので、この段階でぬか喜び・楽勝ムードはご法度です。

早速、消滅時効の援用通知書を内容証明郵便で発送しました。

数日後、れいわクレジット管理へ時効中断事由の有無を電話で確認したところ、ご丁寧に「時効中断事由は御座いません。」との回答。一件落着です。

れいわクレジット管理さんのこの請求は、決して架空請求の類ではなく、違法でもなんでもありません。借主から時効援用の意思表示がなされていない限り正当な権利の行使です。

ですが、20年近く前の債権まで洗い出した、今回のれいわクレジット管理さんの底引き網漁?は果たして割にあうのでしょうか?(他社の心配してる場合じゃありませんが)

このように全く身に覚えがない請求も、社名が変わった、債権譲渡されたとか、実際に取引があった可能性もあります。関係ないやって放っておいては解決にはなりません。また、簡易裁判所を利用した支払督促での請求など、放っておくとダメなケースもありますので、くれぐれもご注意ください。