こんばんわ、神戸の司法書士の塚本です。今回のテーマはマイクロ法人の設立について。
マイクロ法人とは?
そもそもマイクロ法人って何?と思われる方もおられるかも知れません。
会社法的に「マイクロ法人」なるものがある訳ではなく、個人事業主が小規模(マイクロ)な会社を設立して、個人事業主の立場と、マイクロな法人の役員の立場を併存させて、年金、税、健康保険料などの負担を軽減するための一つの方法です。
国民健康保険料がバカ高い
ちなみに、当職の地元の神戸市を例に出すと、国民健康保険料は、医療分と後期高齢者支援金分と介護分に区分されるのですが、それぞれの最高額(年間)は、65万円、22万円、17万円の合計104万円。
年収が何千万円ある訳でもなく、800万円の所得でMAXの104万円の負担、500万円の所得でも73万円もの負担(所得の14%でっせ)があります。
※ 40歳~64歳の単身世帯の計算です。
事業の一部を法人化する
マイクロ法人のスキームでは、個人でおこなっている事業の一部を、新しく設立する会社の事業とし、その会社の事業に関しては、会社から役員報酬を受け取るようにします。
そうすると、その役員報酬の額によるのですが、下の表にあるように
一番低い料率なら、社会健康保険料は、会社負担部分を含めても月額6,954円、年額でもたったの8万3448円で済みます。
国保104万円 ⇒ 社保 8万円
源泉徴収が面倒
会社をつくると何かと事務が増えるのですが、役員報酬の額が、下の表のとおり年間55万円以下であれば、所得税がかからない計算になります。したがって、役員報酬を月額4万5千円に設定すると、源泉徴収事務が不要となります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 | |
1,625,001円から | 1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から | 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から | 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から | 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
年金の掛け金は大差なし
国民年金の掛け金は月額1万6520円(2023年度)です。
上の上の表のとおり、役員報酬を4万5千円に設定すると、厚生年金保険料は、会社負担と合わせて1万6104円と国民年金とほぼ同額、その差はほとんどありません。
健康保険料がMAXだった方の場合
健康保険料がMAXだった方の場合だと、健康保険料の負担は95万円程度、削減されます。
反対に、法人を運営することで、最低7万円の法人住民税が発生します。これは赤字でも必要になります。
差し引き88万円も得したのか?ってことですが、
個人事業主として、社会保険料控除が104万円(健康保険分)と19万8240円(年金分)減ることになり、そのままでは、個人事業主の所得税が増えてしまうことになります。
そこで、健康保険料の削減によって浮いた分を、小規模企業共済や、セーフティ共済、IDECOなどに加入、すでに加入されている方は掛金を増額することで、個人事業の控除額をできるだけ維持することも必要です。
ここまでトータルで実行すれば、マイクロ法人設立のメリットが発生すると思います。
バカ高い健康保険料を取られている個人事業主の方は、マイクロ法人の設立を検討されてはいかがでしょうか?
法人の設立は合同会社か?
ちなみに、マイクロ法人の設立なら、設立費用が安く済む合同会社を検討されると思います。
合同会社の設立は、株式会社の設立に比べ、実費部分だけでも14万円は安く済みます。
ただ、その後の運営まで考えると、どうかな~って部分もあります。マイクロ法人設立後のお話しはおいおいご紹介したいと思います。