こんばんは。神戸の司法書士の塚本です。

ある会社さんから、昔ながらの株式会社を、今風の株式会社へ変更したいってご依頼がありました。

昔ながらの株式会社とは

昔ながらの株式会社とは、取締役会があって、取締役が3名以上、監査役も必要だったので、役員は最低4名。その他にも「株券を発行する」など、時代にそぐわないルールになってしまっています。

会社法が制定された平成17年からは、役員は代表取締役の1名だけ、当然、取締役会なんてなく、監査役もいない、そんなミニマルな会社が増えています。

ってことで、昔、縁故で役員になってもらった方らの高齢化もあり、役員を減らし、会社を身軽にってご依頼。ちょうど、10年ぶりの役員改選のタイミングに合わせて、オーダー通り、無事に登記は完了しましたが・・・

勘違いには「更正登記」

無事に登記を完了したところ、その会社の顧問税理士さんから、「辞めたらあかんC取締役が辞めたことになっているから、どないかして!」ってリクエストがありまして。

もちろん、私は、オーダー通り、C取締役の退任登記をしたのですが、オーダーした社長さんの勘違い、つまり、錯誤です。

こんな場合は、辞めてしまったC取締役を選任し直すのではなく、退任した旨の登記が勘違いでした、正しくは「重任」でしたって更正登記が必要です。

役員の退任を重任に更正する登記

更正登記に必要なものは、C取締役が重任したとの内容の正しい「株主総会議事録」。さらに、勘違いして間違った登記をしてしまいましたって内容の「上申書」。上申書の内容はこんな感じです。

上申書

 令和○年○月○日に申請した当会社の変更登記について、錯誤により、取締役Cにつき、「令和5年6月30日退任」と申請し、その旨の登記がなされましたが、正しくは「令和5年6月30日重任」であることを上申いたします。よって、下記の通り、更正登記を申請いたします。

更正前の記録
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」C
「原因年月日」令和5年6月30日退任

更正後の記録
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」C
「原因年月日」令和5年6月30日重任

ちなみに登記すべき事項は、更正後の記録の部分だけ

「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」C
「原因年月日」令和5年6月30日重任

を記載すれば大丈夫です。

司法書士に頼まないで、間違ってしまった際の、参考に!