ご無沙汰しております。神戸の司法書士の塚本です。
今日は、相続放棄のお話しです。(守秘義務の関係で一部デフォルメしておりますのでご了承下さい。)
2年前に、娘さん(Aさん)を亡くされ、その相続債務のことでご相談を頂いたお母様(Bさん)。
その際は、Bさんから相続放棄の依頼を頂き、無事完了しておりました。
なお、Aさんの相続人は、Bさんの他、Bさんの別れた元ご主人のCさんがおられ、Cさんも相続放棄をすれば、Aさんのご兄弟(Bさんのお子様Dさん、Eさん)が相続人となりますので「その際はよろしくお願いします」とご予約?を頂いておりました。
で、2年たったこの夏、某銀行系のカード会社から、Dさん、Eさん宛に、こんな書類が届いたので、相続放棄をお願いしますって連絡を頂きました。
D様、E様
拝啓
A様におかれましては、ご逝去された由、謹んでお悔やみ申し上げます。突然のお手紙で恐縮ですが、当社は故人様に対する債権を有しておりましたことから、貴方様を含め法定相続人様に残債権の請求をせざるを得ない状況にあります。つきましては、貴方様によるお支払いまたはご相続手続きについて、ご連絡を賜りますようお願い申し上げます。
敬具(以下省略)
Cさんら他の直系尊属が死亡しているか、存命の場合、その相続放棄が終わったかで、Dさん、Eさんに相続順が回って来たんでしょう。早速、必要な戸籍類を収集して、相続放棄の申し立てを行いました。
ところが、相続放棄を申し立てた管轄の家庭裁判所から連絡があり、Dさん、Eさんの相続放棄は受理できないとのこと。調査をしたところ、Cさん(被相続人の父親)は存命で、かつ、相続放棄の申述を行っていませんでした。
つまり、某銀行系カード会社の請求書は、相続人でもない人に相続債務を請求する「架空請求」だったのです!
早速、某銀行系カード会社へ連絡!

貴社のDさん、Eさん宛に送付した請求書、法的な根拠ありますか?
(内心 ⇒ おたくら、架空請求まがいのことしますの?)

調査の上、後日、回答させていただきます。
後日・・・

申し訳ございません。調査のあやまり、当社の勇み足でした。

い・さ・み・あ・し?
法的根拠のない請求をしたんでしょ?架空請求ですね!
金融庁に相談しましょか?どうしますか?
とにかく、今回の請求については、根拠がないことを認めたので、あとは、ご依頼人Dさん、Eさんに直接、謝罪なり、保証なりを行ってもらうことで、当職は手を引きました。
しかし、大手銀行系列のカード会社でも、こんな架空請求まがいのことをしちゃうんですね。
みなさん、お気を付けて!