こんばんは。神戸の司法書士の塚本です。先日ご依頼を頂いた事件のお話し。

ある方が、どこかの無料相談会的なところへ相談に行ったところ、

無料相談会の相談員さん
無料相談会

時効援用で解決できますよ!

ってアドバイスされたそうで、

請求されてお困りの相談者
ご相談者

塚本司法書士事務所さんでは、時効援用の手続をお願いできますか?

ってことだったので

司法書士 塚本
司法書士塚本

はい、よろこんで!

ってことで、事務所へお越し頂きました。ご依頼ありがとうございます。

請求されている内容は?

時効援用のご相談ってことで、てっきり、むか~しのサラ金、クレジットカードの借金のことだろうと思い込んでいたのですが、ご持参頂いた資料を見ると、どうやら10年以上前に住んでいたアパートの未払いの家賃と、現状回復費用、計100万円弱を請求されています。

誰が請求しているの?

資料を確認したところ、差出人は「事務連絡代行イ―コール(コールセンター)?株式会社アーネット(大阪支社)」となっており、

ご案内

弊社は、事務連絡業務の代行を行っている会社です。この度、貴殿に対する下記内容につきまして「○○ ◎◎様」(家主)より、連絡業務の依頼を受けました。

つきましては、確認したい事がございますので、ご連絡頂きます様、お願い申し上げます。

以下、省略。

だそうです。

家主さんから滞納家賃の回収を請け負ったのではなく、連絡事務を代行しているそうです。

相談者さんに伺うと、この「ご案内」なる文書が郵送されただけではなく、毎日、携帯に電話がかかってくるわ、おまけに自宅へ来たとのこと。

おいおいおい!ってことで、早速、文書に書いてある連絡先へ電話をかけてみました。

非弁行為

そもそも、債権回収業務は法律事務であり、本来は弁護士以外が取り扱うことはできません。例外は、法務省の認可を受けた債権回収会社(サービサー)だけなんです。(一定の範囲内であれば認定司法書士も可)

それも、回収できる債権は「特定金銭債権」に限られており、家賃は「特定金銭債権」にあたらないので債権回収会社(サービサー)でも回収は出来ません

これやっちゃうと「非弁行為」として刑事罰の対象です!

事務連絡業務の内容を確認すると

司法書士 塚本
司法書士塚本

御社からのご案内の件、▲▲(相談者)さんから依頼を受けた司法書士です。
この件、消滅時効と思いますが、時効中断事由がありますか?

事務連絡屋さん
事務連絡屋

うけたまわった件、担当に伝え、折り返し連絡します。

司法書士 塚本
司法書士塚本

わからない?言えない?のであれば、もう結構ですよ。
御社の業務内容だと事務連絡しかできない訳だけだから、時効か否かとかの話はしないでしょ?非弁行為とかなったら嫌でしょう。
家主さんに代理人の私から直接連絡します!

ってことで、家主さんの住所しかわからないので、家主さん宛に、時効援用通知書を内容証明郵便で即、発送!

しばらく待ってみましたが、何のリアクションもありません。時効ってことであきらめたのでしょう!

これにて一件落着!

事務連絡って具体的に何をしてくれるの?

さすがに、司法書士相手には、債権回収と疑われるような行為はありませんでしたが、事務連絡の名を借りて債権回収をやっちゃうと非弁行為です。刑事罰があるので、やめましょうね!

とはいえ、「事務連絡」だけをわざわざお金払って誰かさんに頼むなんてことありますか?

事務連絡って、こんなことぐらいか?

やぎの郵便屋さんは手紙を渡すだけ

こんなことぐらいでしょ?

事務連絡は伝えるだけで交渉なんてできませんよ

皆さんも、よくわからない会社から、取り立てみたいな連絡があったら気をつけてくださいね。