令和元年追記しました!
株式会社の解散登記では、
- 解散の登記 3万円(ソ)
- 清算人の就任登記 9千円(四イ)
- 清算結了登記 2千円(四ハ)
合計4万1千円の登録免許税の負担が生じます。(括弧内のカタカナは税金の区分です。)
高いですが、ここまでは仕方が無いと思います。
ところが、解散する会社が、会社法施行前に設立された従来型の会社の場合には、さらに税金が必要なケースがあります。
ここからが罠
会社を解散する場合、清算人1名を残して、他の役員は退任することが一般的です。
現在は、取締役1名、監査役なし、といった機関構成での会社設立が可能ですが、会社法施行以前では、取締役3名で取締役会、監査役も必須、少なくとも4名の役員が必要だったのです。
そのような、従前からある普通の株式会社が、会社法施行に合わせて、機関構成の簡略化を行っていることは、あまりなく、取締役会、監査役が残ったままのケースが一般的です。
会社が清算段階に入ると、経営機関である取締役・取締役会は不要になるため、自動的に廃止されます。自動・職権でされるため、これは申請しない、つまりタダです。
取締役も全員が抹消され、取締役会も抹消されます。(辞任や退任や廃止でなく、勝手に下線が入る、抹消です!)
また、監査役は清算会社にも置くことが出来ますが、監査役も解散と同時に退任させると、監査役設置会社ではなくなるため、その旨の登記が必要になります。
監査役の廃止、3万円(ネ)
監査役の退任、1万円(カ)
これらすべての登記は、登録免許税の区分が異なるため、合計4万円、通常の解散の分と合わせると、8万1千円もの登録免許税が必要です。
これは少し、取り過ぎ。な気がします。
追い討ちをかける罠
前項で、取締役会の抹消は自動で、と説明しました。自動なので申請不要、だからタダ!はいいのですが、もうひとつ、ふたつ罠が隠れています。
通常、小規模の会社では、お決まりのように定められている「株式の譲渡制限に関する規定」
会社法施行前の当時、株式の譲渡を承認する機関は、「取締役会」でした。
が、解散の登記によって、「取締役会」は自動的に無くなっています。
ないはずの機関が、承認することは出来ません。
では、いったいどうするのでしょうか?
正解は、「取締役会」⇒「株主総会」などへ変更する必要があるのです。
が、現在(執筆時点(平成26年5月))は、取締役会を譲渡承認機関としたまま(変更しなくても)での、解散登記申請は受け付けられています。
理由は分かりかねますが、とりあえず不要との扱いです。
追記:令和になった現在もこの変更の申請は不要との扱いに変わりはありません。
監査役の監査の範囲についての登記
さらに、平成27年から施行された「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定め」について、解散と同時に監査役が退任するケース。
法務省の案内では、この規定に該当する会社においては「平成27年5月1日以降、最初に監査役が就任、重任又は退任する登記を申請する際」に申請が必要とされています。
が、さすがに解散と同時に監査役設置会社を廃止するケースでは、申請しなくてもいいようです。(経験上)
記事執筆時から期間が経ちましたので、追記させて頂きました。