本日のご相談から、多少デフォルメしてお伝えします。

住宅ローンが約2000万円、その他の債務が約650万円のご相談者(夫婦)です。

これだけの情報だと、私の中では、

  1. 自己破産
  2. 個人再生(住宅条項利用)
  3. 任意整理

と考えます。収入にもよりますが、とにかく、任意整理では苦しいのではないかと考えます。

ところが、ご相談者は、【任意整理】のご依頼を考え、お越しくださったようです。
1時間半に及ぶ説明・相談の中で、住宅ローン条項を利用した個人再生での解決を図ることになりました。

よくよく伺うと、「個人再生なんて利用できないもの」とお考えだったようです。

確かに、個人再生は「収入要件」によって、利用しづらい方も居られますが、特別なケース・人にしか利用できないものではありません。借金の額でいえば、200万円以上であれば、検討の余地はあります。
任意整理を検討されるのであれば、強く強く「個人再生」をおススメします。

住宅ローン特別条項の落とし穴 その①

個人再生を選択される方の多くは、「住宅ローン特別条項」にメリットを感じておられるようです。
本当に非常に大きなメリットではありますが、登記事項や住宅ローンの契約書などをきちんと確認しない段階では、絶対に住宅ローン条項を利用できるとは確約できないのです。

なぜなら「住宅ローン特別条項」を利用される場合には、いくつかのハードルがあるからです。

住宅ローンであること

借金に苦しむ方の経済的再生には、生活の本拠を失わないようにすることも重要であろう、との趣旨ですので、住宅ローン以外の不動産ローンでは利用できません。
もちろん「住宅」といっても、その敷地となる土地については問題ありません。

また、「住宅」という意味では、投資用のワンルームマンションなどは対象外です。

住宅ローン以外の担保になっていないこと

いわゆる「おまとめ・不動産担保ローン」を利用されている場合には、「住宅ローン」ではないので「住宅ローン特別条項」は利用できません。

住宅ローンを借り換えておられる場合には、内容によっては(その他の費用もまとめた場合など)利用できないケースもあります。

共同担保の場合

少し難しい話ですが、例えば、住宅ローンの審査のうえで、他に担保を求められた場合などで、親が所有する土地などを一緒に担保にされた場合などで問題になります。

差押えの登記がなされている

「差押え」の登記がされている状態とは、その不動産を処分・換価しようとする状態と考えられるため、住宅ローン特別条項の利用はできません。
固定資産税の滞納などで【滞納処分による差押え】がされている場合には、税金を支払うことで差押えの解除が可能です。
税金が完済できる場合には、住宅ローン特別条項を利用することが出来ます。

これらの要件は、不動産の登記事項を確認すれば、住宅ローン条項の利用の可否についてある程度の判断は出来ます。

さらに、最近では一般的になった、夫婦・親子共有の場合、夫婦・親子間で保証関係が有る場合、夫婦・親子ペアローンの場合など、住宅ローンの契約の内容によって、住宅ローン条項の利用の可否が決まる場合もあります。

それら、不動産の共有関係・ローンの組み方と住宅ローン条項の利用の可否については、次回へ続くとさせて頂きます。