昨日お越し頂いたご相談者。住宅ローンの負担が大きく、住宅を任意売却されたのですが、全額完済には至らず、借金が残ってしまってのご相談でした。
住宅購入時から事情が変わり、住宅ローンの支払いが困難になることは、厳しい言い方をすれば、「見通しが甘い」のでしょうが、今のこのご時世、致し方ないのかも知れません。
実際、今のご時世、公務員の方や、超大手企業へお勤めの方ぐらいしか、35年先の見通しなど立たない気がします。先生と呼ばれるわたしども「弁護士・司法書士」でも、低収入にあえぐ時代、他人事ではありませんよ!
今回のご依頼者も、住宅を売って、ローンを返して、負担を軽くして・・・やっていける、とお考えだったようですが・・・
頂いた結論は「自己破産」での解決。全力でサポートします。ご安心ください。
住宅ローンの支払いが困難になった際の解決方法
「住宅ローンの支払いが困難になって・・・」
困難になったものは仕方ありません!そこからどうするか?が大事なのです。
こんなとき、ネットで検索すると
- 審査の甘い金融屋
- 任意整理
- 個人再生
- 任意売却
- 自己破産
などなど、いろんな解決法?があふれています。一見すると、金融屋と不動産任売業者と弁護士・司法書士が客を奪い合っているように映るかも知れません。
いくつかある解決法?任意売却での解決って、いったいどのようなものでしょうか?
任意売却って?
任意売却ってよく耳にしますが、実際のところはいったいどんな解決方法かと言えば、「不動産を売る」。端的にはただ、それだけです。
チラシに載っているような一般の不動産の売却と違うのは、売っても借金が残る状態(オーバーローン)の不動産を売ること。つまり、売ってもローンが残るのが任意売却。
通常、住宅ローンを貸している銀行は、抵当権という権利を持っており、ローンの支払いが滞ると、【競売】が可能です。つまり、ローンの支払いに困っている人のことなんか関係なく、住宅をうっぱらって、ローンを回収することができるのです。ただし、この【競売】の方法は、裁判所の関与の下で行われる手続で、銀行にとってかなり面倒。さらに、市場で売るより低額になることが多く、銀行にも借主にもメリットがありません。
そこで、競売ではなく任意売却、となるのですが、そのメリットは、次のようなものです。
銀行のメリット
- 競売するよりも多額の回収が可能
- 競売と違い所有者に居座られることがない
- 裁判所が関与しないので手続が楽
不動産業者のメリット
- 不動産売却の手数料収入
借主さんのメリット
- 競売よりもローンが減る(可能性がある)
- 退去費用を負担してもらえる(こともある)
- 退去の時期に融通が利く(こともある)
以上のとおり、確かに、任意売却には、ローンの借主にもメリットがあります。
ただし、任意売却では、ローン完済・解決とはなりません。
残った住宅ローンをどのように返済するか?という大きな問題を抱えたままなのです。
不動産業者は不動産を売るだけ
不動産は売れました。ローンも一応減りました。引っ越し先も面倒見てくれました。
さあ、残ったローンをどうやって返済していこうか?
この段階になると、不動産業者はローン返済の相談・交渉などを行うことは出来ません。不動産業者が関与出来るのは不動産の売却まで。不動産業者と結んだ契約は単なる「媒介契約」、不動産が売れれば契約は終わりです!
「不動産を売れば、あとは免除してもらえる!」
「月々少額の返済で大丈夫!」
「万全のアフターフォロー」
などと、不動産を売りさえすれば解決するかのような説明がなされたかも知れませんが、実際には、不動産業者は不動産を売る以上のことは出来ません。それ以上のこと、つまり一番の問題であるローンの支払い・減額などの交渉などを行うことは弁護士法違反のおそれあり。誰も無償で、リスクを冒してまで助けてくれません。
確かに任意売却にもメリットはあります。それだけで解決への道が拓けることもあるのでしょう。残りのローンを免除してもらえることもあるのかも知れません。
しかし、残った住宅ローンの返済が難しい場合には、結局、自己破産による解決へ。
つまり、最終的には、弁護士・司法書士の関与が必要なのです。
では、弁護士・司法書士は任意売却に反対なのでしょうか?したくないのでしょうか?
任意売却は、解決へのプロセスの一部です
住宅ローンの支払いに困った相談者。弁護士・司法書士なら相談者に必要・最適な解決方法を提案するはずです。
必要もないのに、不動産を売却することも、必要もないのに自己破産させることもありません。自宅を売らずに残したまま解決が出来そうであれば、依頼者にそのような希望があれば、住宅ローン条項を利用した個人再生を選択します。
それが弁護士・司法書士の仕事・使命であって、当然、不動産を売ること・任意売却が目的ではありません。もちろん必要があれば、依頼者にメリットがあれば、不動産を売ることも選択します。
つまり、弁護士・司法書士にとって、任意売却は、依頼者の抱えている問題を解決するためのプロセスの一部に過ぎません。
仲介手数料を得るために存在する不動産業者と、依頼者の問題を解決するために存在する法律家、どちらがあなたに必要でしょうか?
例外もいるようですが
弁護士・司法書士は、相談者に必要・最適な解決方法を提案する!
と断言してしまいましたが、金儲けだけに熱心なカスみたいな弁護士・司法書士も存在しちゃいます。例外もありますのでご了承ください。
「任意売却を検討しているお客様をご紹介ください。謝礼は◎◎%」
不動産業者からのダイレクトメールがうちの事務所のポストによく入っています。弁護士・司法書士は顧客紹介の対価の授受は禁止です。もうすこし勉強して下さいね。
まぁ実際には、受け取る司法書士もいるのでしょうね。
ちなみに、なぜ、弁護士・司法書士は紹介料の授受が禁止されているのか?ってよく聞かれます。この間は知りあいの税理士さんにまで聞かれました。
今回のケース、もし、弁護士・司法書士が任意売却業者と提携していたら、任意売却の必要がなくても、個人再生を希望されていても、「任意売却」を進めることになるでしょう。
提携なんてしたら、相談者に必要・最適な解決方法を提案できなくなるでしょうね。あ~やだやだ。