今日、ご相談にお越し頂いたお客様。帰り際に「ブログ読みましたよ」って・・・

いつも滞りがちなブログ。イタいところを突かれてしまいましたが、これもいい機会。
早速、更新しま~す。

このご相談者さんの仕事とは関係ないのですが、最近の相続の事案から・・・

公正証書遺言でもマチガイはあります

公正証書遺言


「公正証書遺言」を遺されていた方が亡くなり、遺言執行者・受遺者に指定されていたお子様(Aさん)からの相続財産の名義変更のご依頼。
このように遺言を遺されている場合には、遺産分割協議や、相続関係の確定作業は必要ありません。

  • 遺言者が亡くなったこと
  • 受遺者(遺言によって権利を得る人)が生存していること

が、証明できれば手続を進めることが出来ます。具体的には、遺言者の最終の戸籍(除籍)、受遺者の現在の戸籍です。

早速、必要書類を準備し、名義変更手続の開始。と思いきや、遺言に問題アリでした。

復任権の記載がない

民法の遺言に関する部分には、次のような決まりがあるんです。

第1016条(遺言執行者の復任権)
遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

私なりに変換すると、「遺言執行者は丸投げしないで自分でやりましょうね。ただし、遺言者が丸投げを許している場合は、かまへんで!」ってこと。

今回の遺言には、この復任権に関する記載がありませんでした。
つまり、遺言執行者であるAさんは、遺言執行の手続を司法書士に丸投げできるか?って問題です。

ごく普通に考えれば、遺言執行者は登記も何もかも自分でしなければいけないはずはありません。実際、遺言執行者から相続登記の依頼を受けることもあります。その場合、法務局で、「復任権無いからダメ!」ってことはありません。

こんな時は、やって見るのみ。あたって砕けろ。アタック&クラッシュです。

その結果は・・・ダメでした

ある信託銀行さんから、「代理はダメ。本人名で手続を」と指摘され、ある銀行さんでは、法務部にまで問い合わせてもらいましたが「代理はダメ。本人名で手続を。若しくは、受遺者から委任を受けてください」とのこと。まぁ~細かいですね~。

結果はな~んにも変わらないのに、書類に書くカタガキとかってそんなに大事なんでしょうか?

まあAさんには、受任の際に説明しておりましたので、問題なし。もちろん、法務局での登記は復任権など何の問題もありません。

もうひとつ問題が・・・

この遺言、さらにもう一つ問題がありまして・・・Aさん、本当は次男なのですが、遺言には「長男A(住所◎◎。昭和△年◎月×日生)に遺贈する」と記載されています。

案の定、信託銀行から「受遺者を特定できないからダメ」って指摘がありました。

エッ特定できない?

長男と次男が同じ生年月日? まあ、いますな、双子やね。
でも、双子の長男と次男に同じ名前つける親います?そんなことできるんでしょうか?

仕方なく本来不要だった戸籍を集め、公正証書の誤記証明を取得することで解決出来そうですが、なんだかなぁ~。理解したくない結論ですね。

ちなみに、プロでもミスります。

ちなみに、この遺言は行政書士が関与した公正証書遺言です。(僕ではありませんよ!)
それでも、書き間違いや書き足りないことがあるんです。

「あんしん」のための遺言なら、プロに任せた方が、より「あんしん」ですよ。