政府が、残業時間の上限を月間80時間までに規制することを検討中とのこと。
http://mainichi.jp/articles/20170125/k00/00m/010/140000c
例の大手広告代理店の事件?から風向きが変わったようです。いわゆる過労死基準とされる月間80時間を上限時間として検討されているみたいです。確かに、心身に悪影響を及ぼすほどの時間外労働はなくさないといけません。
ただ、時間数の上限が定められれば、残業は無くなるのでしょうか?
上限よりもペナルティーを
実際、サービス残業、未払い賃金に関する相談を受けていると、よくあるのが、そもそも36協定がないケース。
労働基準法第36条
労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない
この協定を36協定(さんろく、さぶろくきょうてい)というのですが、この36協定が無ければ、残業をさせることは出来ません。つまり、残業の上限時間が0時間。なのにサービス残業が蔓延ってるのです。
それも、数時間なんてもんじゃなく、80時間を超えるケースもしょっちゅう。ルールなんてなんぼのもんじゃい!これが実態です。
そもそも、サービス残業を強いるような会社では、「法律が現状と合っていない!」って開き直るぐらいの認識ですんで。それも上場企業の社長がですよ。
エイベックス松浦勝人社長、長時間労働是正勧告を受け持論 「法律が現状と合っていない」
上限を設けること、プラス、罰則の強化。これがないと、何も変わらないんじゃないでしょうか?
管理監督者だらけになるかも
まあ、上限が定められても、こんなブラック企業達はすぐに対策を講じるでしょう。というか既にやってます。
みんな「管理監督者」にするんです。
管理監督者とは、ざっくり言うと「偉いさん」。「偉いさんには残業代は支払わなくてもいい」との労働基準法上の規定をさかてに取って、到底「偉いさん」ではない従業員まで「偉いさん」に仕立て上げ、労働時間の規制から除外し、さらに残業代の支払いを免れる作戦です。
実際の裁判では、入社3年目の係長補佐を「管理監督者」と主張したり、賃金を労働時間数で割ると1000円程度、つまり、時給1000円程度の従業員を「管理監督者だ」なんてヘーキで主張しますから。
こんな違法な長時間残業や、それに対する賃金の未払いの罰則が
「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」
たったの30万です。
この部分こそ「法律が現状と合っていない」んじゃないでしょうか?