会社の設立や、事業目的の変更の際の打ち合わせ。

会社の目的をどう記載するか?って話しなんですが、これがこだわりだしたらキリがないんですね。

司法書士は先例が命!

通常の司法書士的には、というよりも、商法時代からの司法書士的には、過去の会社目的事例集(分厚い本)から、依頼人に選択してもらうことが多いと思います。
まあ、現代では、会社の目的事例集なんてインターネット上に山盛りありますんで、自分で選択し、指定してこられる方も多いです。

で、パクリ(先例踏襲)であれば、その中から選べばいいのですが、何かしっくりこない場合には、オーダーメイドの作文になります。皆さん作文苦手でしょ?なかなか決まらないんですね~

その中で、目的としての決まりごとは、適法性・営利性・明確性の3つとされていますが、私自身は、ざっくりと「何をして儲けるのか」がわかればいいと考えます。

例えると、「勉強」じゃ広すぎますが、「国語」「社会」「理科」で十分。「現代文」、「日本史」や「生物」「室町時代」まで範囲を限定することは不要と考えます。こだわりだしたら細かい区分が気になってなかなか決まらない。そんなことに頭を使うのはもったいない。

で、細かいことにこだわりだすと、これもあれもこれもあれも、と目的が何十個にもなってしまいます。となると、どれを何番目にしようか?とか、また、よくわからないことで、頭を悩ませるんです。で結局、事業目的が何十個もある会社って、いったい何がしたいねん!って思われるんですね。

ずばり、会社の目的なんて、ほとんど誰にも見せません!(銀行・税務署と労働関係の役所ぐらいです)

コピーライティングでもなく、ネット広告の広告文でもなく、名刺に載せるわけでもないんで、悩んでも売上は増えません!ざっくり・シンプルにされることをお勧めします!

例外もあります

一般的には、上記の通りですが、介護事業など許認可に関する事業を営む(その予定がある)場合には、きちんした文言で事業目的を記載しなくてはいけません。単に「介護事業」では許可が受けられない可能性が高いのです。

特に介護事業では、多くの種類のサービスがあり、許可を取得するサービスの種類ごとに文言通りの記載を求められるケースもあるようです。(許認可権者によります)

例えば、介護保険法第8条第1項に規定されている居宅サービス事業は、細かく分けると

  1. 訪問介護
  2. 訪問入浴介護
  3. 訪問看護
  4. 訪問リハビリテーション
  5. 居宅療養管理指導
  6. 通所介護、通所リハビリテーション
  7. 短期入所生活介護
  8. 短期入所療養介護
  9. 特定施設入居者生活介護
  10. 福祉用具貸与
  11. 特定福祉用具販売

となります。当初から全部の事業を始める訳ではありませんが、将来的に営む可能性がある事業は記載しておきたいからと、あれもこれもと記載すると、やっぱりキリがありません。

この場合、これらの事業は「介護保険法に基づく居宅サービス事業」とまとめて記載することをお勧めします。

同じように、他の介護サービスでも、司法書士的には、以下の通り根拠条文ごとに記載しておけば問題ないかと思います。(カッコ内の条文は目的には書かないですよ!)

  • 介護保険法に基づく居宅サービス事業(第8条第1項)
  • 介護保険法に基づく地域密着型サービス事業(第8条第14項)
  • 介護保険法に基づく居宅介護支援事業(第8条第23項)
  • 介護保険法に基づく施設サービス事業(第8条第25項)
  • 介護保険法に基づく介護予防サービス事業(第8条の2第1項)
  • 介護保険法に基づく地域密着型介護予防サービス事業(第8条の2第14項)
  • 介護保険法に基づく介護予防・日常生活支援総合事業(第115条の45第1項)

で、最後の赤下線の「介護保険法に基づく介護予防・日常生活支援総合事業」。

これは、要支援者への介護サービスの形態が変更となった(国が市町村へ押し付けた)ために、新たに出来たサービスの区分です。

要するに、役所の都合でサービスの呼び名が変わっただけなんですが、介護の指定(許可)更新の際には、事業目的に「介護保険法に基づく介護予防・日常生活支援総合事業」と追加する必要があるんですって。

同じように、障害者の方への介護サービスも、「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に改正されたので、それにともなう事業目的の変更が必要になっています。

許可の更新の際には、お気を付けください!