こんばんわ。神戸の司法書士の塚本です。
先日は朝から隣の税理士さんが、突然のご来所。
「今、相談に来られてるクライアントの登記の件で・・・」
「エッ?今?RIGHT NOW?」って感じですが、隣の税理士さんの事務所へ突撃。
まあ、相談の内容としては、
「(すでに開かれた)株主総会に、代表取締役が出席してなかったらマズイのか?」
って、会社法に関する内容。
まあ、今、ちょうど、決算申告の重なるシーズンですのでね。
会社法上の規定は?
法律の文言の上では、「取締役は株主総会へ出席しなければならない」とは書いていません。
したがって、株主総会を欠席してもマズくないとの回答になりますが、一応、以下の規定は引っかかりますね。
会社法第314条
取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。(以下、略)
代表取締役が不在でも、回答できる取締役が出席していればOkでしょうし、株主総会決議の無効など、おおごとにはなりませんね。
ただし、株主の手前、病気などのやむを得ない理由以外で代表取締役が不在ってのは、マズい気がしますが・・・まあ、法文上はセーフです。
定款は会社の重要なルールです
ところが、こちらの会社さん、定款でこんな風に規定しておりました。
株主総会の議長は、社長たる代表取締役がこれに当たる。
普通といえば、普通ですが、本来は、これに加えて、
- 取締役に事故があるときは、当該株主総会で議長を選出する。
- 社長に事故があるときはあらかじめ社長の定めた順序により他の取締役がこれに代わる。
など、もしもの際の規定を定めるんです。ハイ、保険です。
つまり、この会社さんの場合、定款をそのまま文面上で解釈すると、代表取締役が株主総会を欠席したら、議長がいないじゃんてことですね。
では、この定款のルールが絶対なんでしょうか?
会社法では株主総会の議長はについて、どのように規定されているかといえば・・・
第三百十五条
株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2 株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。
議長選任についてのルールなんか書いてません。
じゃあ、どうなるの?っていうと、旧商法の規定に従うものと考えます。
旧商法 第237条ノ4(総会議長の選任とその権限)
総会ノ議長ハ定款ニ定メザリシトキハ総会ニ於テ之ヲ選任ス
旧商法にばっちりの規定がありました。改正されてないので、生きているんでしょう。(カタカナなんですよ。懐かしいです。)
代表取締役が欠席せざるを得ない場合などで欠席に関する保険規定がない場合には、この規定にしたがって、総会に於いて議長を選任すれば、大丈夫です。
ちなみに、細かい話ですが、この場合の株主総会議事録は、「議長は、総会によって選任され就任し・・・・」となりますね。何も考えず、「議長は定款の規定に従い・・・」とすると、マチガイになってしまいます。
まあ、司法書士的には、定款で、万が一のための保険規定を定めた方が、すっきりだと思います。