代表司法書士 塚本の独り言

就活生へ?固定残業代制度って誰が得?

こんばんわ。神戸の司法書士の塚本です。

春になりました。町を歩くと就活生でしょうか?新社会人でしょうか?初々しい姿が目につきます。ほんとにですね。

こんな就活生の方々へ司法書士の立場から、僭越ながら会社選びのアドバイス。

まあ、そんな上から目線のつもりもありません。私なんてまともな就活なんてしたことないですし・・・
ただ、労働者サイドでサービス残業などの労働問題に携わる中で、糞みたいな経営者と対峙したときの経験談です。多少でも参考になればと。世知辛い世の中ですので・・・

残業しなくても残業代?固定残業代制度

残業近年は残業に対する厳しい世間の目がありますので、減少傾向にあるようですが、まだまだ無くならないサービス残業。

もし、志望企業に固定残業代制度があれば、注意が必要です。

固定残業代制度って聞くと、残業代が一定の額に固定されていて、

「いくら残業をしてもそれ以上はもらえない!」

なんて思いがちですが、実際にはそうではありません。

固定残業代制度とは、基本給に加えて、

  1. 一定時間分の残業手当
  2. 一定時間分の深夜労働手当
  3. 一定時間分の休日手当

を、あ・ら・か・じ・め付加した給与を支払うとの、いっけん従業員にやさしいように見える制度。

当然、残業しなくても、休日出勤もしなくても、決まった金額の残業手当がもらえます。(そのはずです)

さらに、決められた時間を超過した残業、休日出勤に対しては、別にきちんと手当をもらえるはずなんです。

割増賃金のルール

なにかとっても従業員にやさしい制度に思えるのですが、実はそう思わせるところがミソなんです。

そもそもの残業代のルールについて整理しましょう。

一般には「残業代」なんて言いますが、法律職としては「割増賃金」と言います。読んで字のごとく、時間外労働に対しては基本給に割増した手当がもらえるんです。

どれぐらい割増かというと、通常の残業で、1.25倍。

深夜労働(午後10時以降午前5時までの)の場合も、1.25倍

じゃあ、残業が深夜に及んだ場合にはというと、1.5倍になります。

(その他、休日深夜、法定外労働とか、細かいルールがいろいろありますが割愛!)

具体的には、時間給が1,000円だと、普通の残業で時間給が1,250円。深夜までの残業だと時間給は1,500円となります。

具体的な待遇から計算してみましょう

リク◎ビにあった、ある企業の募集要項で考えてみましょう。拾ったのはこんな条件でした。

◎◎職 230,000円(固定残業代72,233円含む)
※時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず、固定時間外手当55時間分と固定深夜手当40時間分の固定残業代として支給。上記を超える時間外労働は追加で支給。

まず、すごくないですか?残業が55時間も想定されていて、深夜労働も40時間も想定されてるって。でそれを超える労働が想定されてるって。だいたい、残業が一切ない会社だと「固定残業代制度」なんてありませんから。

固定残業代制度≒長時間労働です。

話しをもとにもどします。まず単純に、労働時間算出の基礎となる時間給をAとすると、(算数ですがついてきてくださいね)、Aの1.25倍の計95時間分が固定残業代72,233円になるって計算ですから、基本の時給はいくらか?というと

∴A=608(円)

オーマイガー。時給608円て最低賃金下回ってますが、大丈夫ですか?こんな求人載せて?リク◎ビさん?

ちなみに上の条件で、総支給額(23万円)から固定残業代(72,233円)を引くと、157,767円で、普通の所定労働時間(普通は約173時間なんです)で除すと約912円。

なので、本来は、割増賃金は912円の1.25倍、1時間あたり1140円払わないといけないはずなんですね~。数字があいませんね~(まあ、いろんな手当があるんでしょうね)

おかしいな~と思ったあなた。はい、正解!

固定残業代制度を導入している会社の多くは、突き詰めると数字が合いません!

まあ、深夜労働と残業がすべて被るなど、計算上の時給は最大917円にはなる(トリック?マジック?)ので、発表されている数字だけで違法とは断定はできませんがね。
ちなみに、勤務地が東京都・神奈川県だと、最低賃金を下回る計算になりそうですが・

固定残業代制度にメリットなんかありません!

まあ、だいたいわかって頂けたとは思いますが、固定残業代制度を法律のルール通りに運用したら、会社サイドにメリットなんて一切ありません。

会社サイドから見ると、実際の残業時間が少なければ、残業代を払い過ぎたことになり、実際の残業時間が多ければ、超えた分を払うのですから、人件費(残業代)は抑制されませんよね。

また、固定残業代制度を導入していても、使用者(会社)には労働者の労働時間を管理・把握する義務があります。

固定残業代制度だから、タイムカード無し!

なんてことはダメ。許されません!∴会社の労務管理の負担は軽減されません。

つまり、固定残業代制度を導入していない普通の会社と同様に、各労働者について、通常の労働時間、時間外労働時間などを、管理、計算し、その上で一定の固定残業時間を超えていれば、固定残業代に加えて、正規の残業代を支払わなくてはならないのです。

会社にメリットなんてないでしょう?じゃあなぜ、固定残業代制度があるのか?といえば、

狼だぞ~
そう、それは、世間知らずの就活生をだますためだよ~(若干、赤ずきんちゃん風)

パッとみ、多く感じる総支給額。その中には、実は過大な残業代が含まれており、本当の基本給は最低賃金レベル。当然、賞与の計算の元になるのは、その最低賃金レベルの基本給×何か月分!

固定残業代制度≒人件費抑制策

しゃぶしゃぶの食べ放題とか、アルコールの飲み放題とかって、絶対もと取れないでしょ?

もし、もとが取れる人(お相撲さんとか)が行ったら、入店断られるんじゃないですか?

そう、全部、店(会社)が儲かる仕組みです。

就活生の方々!「固定残業代制度」には、くれぐれも、ご注意くださいね。

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