こんばんは!神戸の司法書士の塚本です。

今回は、住宅資金特別条項(住宅ローン条項)を利用した個人再生のお話し。

個人再生|住宅ローン条項とは

住宅ローンを含めて、多額の借金があって、それでも「住宅を守りたい!」と言う場合に、利用されるのが、「住宅ローン条項を利用した個人再生手続」

住宅ローンは従来のまま返済し、その他の借金は5分の1に圧縮してもらうことで、住宅を残したままで、借金問題を解決できる点が、最大のメリット。

この「住宅ローン条項を利用した個人再生手続」を利用するには、様々な要件があるのですが、そもそも「住宅」って要件を充たさない場合には、「住宅ローン条項を利用した個人再生手続」が利用できません

申立ての直前になって、

  • 後順位の抵当権が見つかった!
  • 固定資産税の差押えが見つかった!
  • 駐車場も賃貸じゃなくて所有していた!

なんて場合は、OUT!

冷や汗どころの話では済みませんのでご注意を!

住宅資金特別条項(住宅ローン条項)

法律では以下のように規定されています(読みやすいように一部改変)

民事再生法 第196条 

一 住宅 個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る。

二 住宅の敷地 住宅の用に供されている土地又は当該土地に設定されている地上権をいう。

三 住宅資金貸付債権 住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証会社の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。

「住宅」の要件 具体的には?

住宅ローン条項を利用した個人再生手続における、「住宅」の要件を具体的に見てみると、

  • 申立てする方が所有者(共有も可)
  • 住むための建物(単身赴任中も可)が対象で投資用(賃貸用はダメ)
  • 店舗付き住宅等の場合、床面積の半分以上が店舗等ではダメ
  • セカンドハウスはダメ(1戸だけ)

となります。

住宅の敷地の要件!

次に、住宅の敷地の要件として「地上権」と記載されていますが、「賃借権(借地)」ではダメなのかというと、「賃借権」でも大丈夫。

根拠は、、、借地権付のマンションについて申し立てたケース、定期借地権付きの戸建住宅について申し立てたケースでも、問題なく受理されているから(実績)。

駐車場は「住宅」? どのように扱われるの?

結構な落とし穴となる「駐車場」どのように扱われるのでしょうか?

例えば、戸建住宅の敷地に駐車場部分があるケース。居宅部分と駐車場部分の敷地が1つ(1筆)の土地の場合は、問題ありません。駐車場部分を切り分ける訳にはいきませんので。

では、土地が2つの場合ではどうでしょうか?つまり、自宅の敷地の他にも、土地を所有している状況。このようなケースでは、駐車場の土地を単体で売却できる場合には、その土地を住宅として扱うのは、難しいと思われます。

反対に、ゴミステーションや集会所の共有持分など、それだけでは、処分(売却等)できないケースでは、住宅と一体のものとして扱われます(実績有)。

また、分譲マンションの分譲の駐車場で、別個の不動産として登記されている「建物」はどのように扱われるかというと、駐車場だけでも売れるかも知れないけど、、、、住宅と一体のものとして扱われました(実績有)。

安易な判断はキケンです

以上のように、「住宅ローン条項を利用した個人再生手続」を利用するには、まず「住宅」の所有者や、所有形態、登記内容などの要件をしっかり確認する必要があります。場合によっては、個人再生を諦めないといけないケースもあるでしょう。

登記の内容・状況等、専門家へ確認されることをおススメします。

また、住宅ローン条項を利用するには、「住宅」の要件の他にも、「住宅ローン」に関する要件もあります。こちらについては、また、別の記事で解説します。