こんばんは、神戸の司法書士 塚本です。今日のお話しは、任意整理について。
任意整理を希望されて相談にお越しの方は多いのですが、お請けしないことも多いのです。その理由を少しばかり・・
任意整理とは
任意整理とは、消費者金融やクレジットカードからの借金、キャッシング、ショッピングリボなどの支払いが出来なくなった、出来なくなりそうなとき、弁護士、司法書士が代理人として、消費者金融、クレジットカード会社と交渉して、返済条件を変更すること。
もちろん、返済条件の変更とは、返済条件を緩和すること。年利18%の契約だったものを0%にしたり、返済期間を3年や5年に伸ばしたりすることで、借金の完済をサポートします。
なぜ、消費者金融やクレジットカード会社が返済条件の緩和に応じてくれるかというと、自己破産だと100%カットされ一銭も返ってきませんし、個人再生では原則80%カットされ、20%しか返済されませんから、それよりはマシだろうってことです。
どんな返済条件になるのか?
とは言え、自己破産や個人再生など裁判所のチカラを借りる手続ではなく、あくまでも消費者金融などとの交渉、話し合い。ですので、返済条件を無制限に緩和してもらえるわけではありません。そんな図々しい話はありません。
おおむね、将来利息は0%で、3年~5年の返済期間とするのが一般的な範囲です。
元金をカットするとか、返済期間を10年に伸ばすなどは、応じてもらえない可能性が高いですね。
元金が減ることもあります。(ました。)
その昔は、消費者金融やクレジットカードのキャッシングの貸付利率は、利息制限法で定められた利率を超えていたので、引き直し計算の結果、元金が減る、無くなる、過払金が発生することもありました。が、元金が減るような取引は、おおよそ、平成20年よりも前に開始された取引だけ。
現在では、ほとんどの取引で、元金が減ることはありません。
任意整理の守備範囲
となると、いまある借金の残元金を60回で割った数字が、月に必要な返済金額になります。
簡単な計算です。借金の総額が300万円であれば、月額5万円。600万円もあれば、月額10万円。
その額、毎月、3~5年間、きちんと返済できそうですか?それが出来るのであれば、任意整理での解決は可能です。
ところで、5年って結構遠い将来ですよ。お子さんが小学1年生なら6年生になります。小学5年生なら、中学、高校に進学します。めっちゃお金かかりますよ。本当に大丈夫ですか?
スマホを格安に変えるとか、たばこをやめるとか、パチンコをやめるとか、丸坊主にして散髪代を浮かすとか、休日にバイトするとか、無理のない範囲で返済資金を捻出することは結構ですが、4人家族で食費を2万円にするとか、昼飯抜きにするとか、そんな無理を重ねる方法でないと返済資金が捻出できないのであれば、任意整理はあきらめてくださいね。
嫁(旦那)には内緒、小遣いが3万円で、毎月5万円返済の任意整理って・・・数字があいませんよね。
無理な任意整理は借金を増やすだけ
司法書士や弁護士に委任して、とりあえず返済、取り立て、請求がとまって、とりあえずの任意整理をしても、任意整理の返済計画に無理があれば、結局、返済は滞るでしょう。
無理な任意整理に支払った弁護士、司法書士の報酬の分だけ、借金を増やすことでしょう。
その場しのぎはやめましょう。今の借金の原因も、その場しのぎのあまい考えが招いたんじゃないですか?
完済するまでの具体的なライフプランを考え、自己破産や個人再生も含めた上で、任意整理を一つの選択肢として借金問題の解決を考えてみてください。
って感じで耳の痛いアドバイスをすると、「任意整理」しか頭にない方からは、依頼されないんです。仕方ないですね。