昨日のニュースでしたっけ?
法務省が旗振り役となって、「法定相続情報証明制度」が今年の5月から始まるようです。
なんでも、相続登記が未了になっている不動産が増え、問題化しているので、その対策のようですが・・・
ヤフーのトピックでは、タイトルの通り、「相続手続き 5月から簡素化」となっていますが、本当に、簡素化されるのでしょうか?
被相続人に関する戸籍一式を添付して法務局へ申請すると、こんな証明書が発行されることになる予定です。(※不動産登記規則の一部改正(案)に関する意見募集より)

こんな書類が発行され、銀行などの手続で利用出来るようになる(といいなぁと役人が考えている)ので、一般国民・利用者の利便性が向上するってことのようです。
何か履き違えてる
放置されている相続手続の推進のために導入されるこの制度、そもそも、相続登記が進まないのは「手続が面倒くさい」「費用がかかる」からなのでしょうか?
何千万円もの価値がある不動産や、何千万円の預金の相続なら、遺産分割協議で揉めることはあっても、上のような理由で放置される訳ありませんよ。
私見ですが、相続登記が放置されているような事案は、
- 不動産に価値・流通性がない・もう要らない
- 何代も相続が重なり、手が付けれない状態になっている
- そもそも、不動産を相続したことの認識がない
こんな理由だと考えられます。
なので、「相続手続が簡素化される⇒利便性が上がる」のは確かですが、放置されている相続登記が促進されるのか?と言えば効果は薄いのではないでしょうか。
法定相続情報
まだ、この制度が運用されていないので、実際の運用はどうなるか分かりませんが、証明される内容は、上記の証明書の通り「誰が法定相続人であるか」という情報に過ぎません。
もちろん、法務局が市役所などから戸籍を収集して調べてくれるわけでもありません。
したがって、相続手続における、面倒な部分、
- 戸籍の収集
- 相続人の話し合い(具体的相続分の協議、決定)
については、今まで通り。簡素化されるわけじゃありません。
さらに、上の証明書(案)を見ると、「被相続人の最後の住所」の項目があります。
これは、戸籍の附票や除住民票に基づいて記載されるものと推測しますが、相続の開始時期が古い場合、被相続人の最後の住所を証明する公文書が破棄されている可能性があり、もし破棄されていれば、戸籍上亡くなった方の住所の証明は不可能なんです。
現在の相続登記では、相続人全員の印鑑証明書や、権利証、納税通知書などを添付させて、不可能な証明に代えて疎明で済ませていますが(こんな扱いがそもそもおかしいんですが)、不動産も持たない方についてはどのように疎明・証明させるのでしょうか?
ちなみに、被相続人の住所の問題についてはこちらの記事を参考に
今までは、法務局の中だけのお話しだったんですが、今後は法務局とは無関係の方の金融機関の相続手続のために、本来証明できないことを法務局が証明するんですかね?相続人が別人なら、えらいこっちゃで済みませんが。
それとも、「被相続人の最後の住所 = 不明」とするのでしょうか?