こんばんは、神戸の司法書士の塚本です。
数年前より、所有者不明土地問題の解消のため、一定の条件を満たす相続登記について登録免許税の免税措置がいくつか設けられています。
参考 法務局の案内 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
相続による所有権移転、所有権保存が対象
今回のお話しは「相続登記の不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置」について。
先日、ご依頼頂いた敷地権付マンションの相続登記(所有権移転登記)。マンションの相続登記の場合、敷地が複数ある場合、合計した価格でなく、各敷地1筆の持分の評価額が100万円以下であれば、登録免許税免税の対象になります。
今回のマンションは、2筆の敷地の上に建っていて、敷地権の種類が、1筆は所有権で、もう1筆が地上権。
それぞれの土地の評価額を持分割合を元に計算すると、地上権の方の土地の評価額が100万円以下になりました。
免税!ラッキー!? 地上権も対象でしょうか?
地上権も対象なのか?
相続登記の登録免許税の免税措置に関する法律(条文)はこんな感じです。
2 個人が、令和七年三月三十一日までの間に、相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、登記に係る不動産の価額が百万円以下であるときは、これらの登記については、登録免許税を課さない。
租税特別措置法第84条の2の3 一部読みやすく省略
今回、申請する登記は、間違いなく「相続による所有権の移転の登記」ですが、移転するのは「地上権」。
まあ、条文を目的論的解釈すれば対象外だろうなぁ~と思いつつも、文理解釈では対象外とは言い切れませんので、法務局へ電話で確認!
ちなみにこの日は、年度末の3月29日。
司法書士さんからの質問は、FAXでしか受け付けません。
その(面倒くさい)制度は知ってますけど、FAXでの質問への回答、すぐ回答くれませんやん。
3月中に申請しないといけないんですけど。それでも、電話じゃあきませんの?
申し訳ないね~
依頼者のためにはダメもとで
まあ、お役所さんの対応なんてこんなもんです。ハイ。法律の条文に書いてないことは、わからないので、免税になるものとして登記を申請します。
免税の対象外であれば、本来払うはずの登録免許税を追加で納付すればOKでしょってスタンスです。
なお、免税対象になるのは最高100万円の土地で、地上権の登録免許税の税率は、0.2%なので、誤差は最大2000円ぐらいの話なのですが、プロとしては「まあ、えっか、2000円ぐらい余分に払っても」とはいきませんのでね~。
結果は?
地上権は免税対象にはならんで~。登録免許税足らんで~。
残念ながら(当たり前っちゃ当たり前ですが)、地上権の相続は免税対象ではありませんでした。
差額の登録免許税、○百円を追加納付して、完了です!