12月です。寒いですね。

加齢による筋肉量の低下のせいか、寒がりになってしまった司法書士の塚本です。

今日も相続登記のご依頼のお話しから。

相続登記のパターンとして一番多いのは、遺産分割協議で相続する方を決めるケース。

その場合、名義変更に必要になるのが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書

当事務所へ相続登記をご依頼頂いた場合、当事務所で遺産分割協議書を作成させて頂きますが、訳アリの相続で弁護士さんや税理士さんへ頼んだ後、相続の登記手続だけを当事務所へご依頼頂くこともあります。

つまり、弁護士さんや税理士さんが作った遺産分割協議書を登記に使おうとした場合、結構な割合で

使えないじゃん

ということがあるんです。

使えないパターン 私道が書いてない

遺産分割協議書には、相続財産の一覧を記載し、その相続財産を誰が取得するか、を記載することになりますが、その相続財産の調査の段階で、相続財産が漏れてしまっていることが多いのです。

その典型例が、公衆用道路(私道)の漏れ。

相続財産を調査する際に、固定資産税の課税状況から調査すると、固定資産税が非課税の公衆用道路(私道)が漏れてしまうんです。

この漏れるパターンは、私道だけではなくゴミステーションや、集会所の持分などもあり得るので、後の売却の際に発覚し、再度、遺産分割協議書を作り直さないといけない!なんてこともあります。

対処法としては、権利証、公図、閉鎖共担、閉鎖登記簿などをくまなくチェックするといった司法書士的な地味~な作業。一般的な調査では見落とされがちです。

使えないパターン 敷地の持分がない

いわゆるフツーの17歳だわマンションの場合、登記事項証明書には、

(一棟の建物の表示)
所在 神戸市・・・・
建物の名称  ▲マンション
(敷地権の目的である土地の表示)
土地の符号 1
・・・
(専有部分の建物の表示)
・・・
(敷地権の表示)
・・・

などと、いろんな情報が記載されています。

そんなに古くないフツーのマンションだと、その部屋の権利と、マンションの敷地の利用権がセットになっているのですが、何かいっぱい書いている情報から、敷地権の情報が抜け落ちているケースがあるんです。

一般的な(意地悪くない)考え方では、

どのマンションのどの部屋かわかればええやん!セットなんやろ!

と思うのですが、基本的に意地の悪い法務局では通用しません!

面倒ですが、土地と建物を相続したってきちんと分かるように、専有部分だけではなく、敷地の土地の所在及び地番、敷地権の種類と割合を記載してください。

ちなみに、一棟の建物に「建物の名称  ◎◎マンション」のような記載があれば、構造や各階の床面積等の記載は要りませんので。

使えないパターン 相続人の肩書が足りない

これは、相続登記をちょっとさぼっていたケースによく起こるのですが、相続が重なってしまっているケース。
例としては、不動産の名義人であったお父さんが亡くなったことによる相続登記をしない間に、お母さんも亡くなってしまったなんてケースです。

その場合に、お父さんとお母さんの間のお子さんは、お父さんの相続人の立場と、お父さんの妻として相続人の立場であったお母さんの相続人としての立場が併存しています。

したがって、この場合のお子様の立場は、「相続人 兼 相続人 ◎◎ ◎◎(お母さん)の相続人」なんて記載になります。

だから、何?って、思って頂いて正解です。が、基本的に意地の悪い法務局では、きちんと書いて下さい!と補正の対象になってしまいます。

誰が、誰の相続人として遺産分割協議へ参加しているのかを、きちんと理解した上で、明確に記載することが重要です。

捨印・訂正印は是か非か?

法務局に遺産分割協議書を提出した場合、使えないパターンの典型例は、上記のようなケースですが、どれも、訂正印(捨印)が押してあれば、加筆修正することは可能です。

相続人の肩書を書き加える場合や、マンションの敷地部分の記載を整えることは、ミスの訂正と考えられますが、ぶっちゃけ、私道のパターンのように、もともと分割協議書に記載されていない不動産を加えることも、不可能ではありません。

捨印を使ってどこまで修正、訂正を行うかは、登記申請の代理人としての司法書士の考え次第。私の考え方を例えると、

ハンバーグ弁当にスプーン1杯程度のポテトサラダを加えるのは、OKと思いますが、

唐揚げ弁当に、七面鳥の丸焼きを加えるのは、ダメじゃんと思っています。

まあ、訂正印には、便利な面もありますが、悪用のリスクももちろん有り。

訂正印(捨印)を頂けるってことは、信頼して頂いたってことです。依頼者の信頼を裏切らないよう、まっとうな仕事を続けていきます。