こんばんわ、神戸の司法書士の塚本です。
今回のお話しは、相続登記に添付する書類について。
被相続人と登記名義人が同一人物か?
不動産の所有者が亡くなってから、相続登記をするまでに時間が経ってしまうと、住民票などの書類が発行されなくなって、亡くなった人と不動産の所有者が同一人物ってことの証明に、上申書などのいろんな書類を提出しなきゃいけなくなって、相続登記がとても面倒だったんです。
が、平成29年に、法務局での扱いが変更され、
権利証を添付すれば、それでOK!
上申書や不在住証明書などなどの面倒な書類が不要になったんです。
(参考までに 以前書いた記事 被相続人の住所|追記しました。)
その取扱いの変更に関する平成29年3月23日法務省民二第174号の通達の内容は以下のとおりです。
住⺠票の写し(本籍及び登記記録上の住所が記載されているもの)、⼾籍の附票の写し(登記記録上の住所が記載されているもの)⼜は、所有権に関する被相続⼈名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続⼈の同⼀性を確認することができ、当該申請に係る登記をすることができる
所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、被相続人の同一性を確認することができる!
って書いてますよね?
住民票>戸籍の附票>権利証?
ところが、このあいだ、住民票の代わりに権利証を提出した相続登記の件で、地元の法務局から連絡が・・・
被相続人の住民票の除票がついていませんが!
代わりに権利証つけてますけど・・・
いやいや、こないだ亡くなったとこやから、住民票発行されますやん!
へ?権利証でいいはずでしょ?通達で書いてますやん!
いやいや、それは、住民票、戸籍の附票の保存期間経過後の扱いです!
はぁ?そんなん通達のどこに書いてますのん?
いやいや、通達にはそう書いてないけど、その通達を解説した本(登記研究)に書いてます!
はぁ?通達に書いてないことなんか、知りませんやん!
解説読まなわからん通達なんか、通達の意味ありませんやん!
と、まあまあ、やり合ってみたんですが、不毛な議論を続けるよりも、今回は300円払って住民票を取得して提出する方が、手っ取り早いので・・・退散です。
登記研究831では・・・
とはいえ、何か気持ち悪いので、この通達を解説している登記研究なる本を読んでみると、次のようなロジックです。
相続登記では、亡くなった人と登記記録上の所有者の同一性の証明が必要!で
被相続人の本籍地(戸籍)と登記記録上の所有者の住所が一致すればそれでOK!(最強)
それが一致しない場合には、住民票、戸籍の附票で証明することが相当!
とはいえ、保存期間経過後は、住民票、戸籍の附票は提出できない!と、前提を書いた後に
「この場合における被相続人の同一性を証する情報としては・・・・」次の通り判断しています。
- 住民票はOK!
- 戸籍の附票もOK!
- 権利証もOK!
- 不在住証明書、不在籍証明書だけではダメ!
- 固定資産評価証明書、納税証明書だけではダメ!
- 上申書だけではダメ!
「この場合」て住民票、戸籍の附票の保存期間が経過した後って意味ですか?
住民票等の保存期間経過後に限った通達であれば、出せないはずの住民票はOK!とか書きませんよね?
文脈からして、「被相続人の本籍地と登記記録上の所有者の住所が一致しない場合」でしょ?
法務局さん、速やかに取扱いの変更をお願いしますね。